ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

PREP(プレップ)試してみませんか? その5 (4つの危険信号・相手を避ける行為)

みなさま、こんばんは。お変わりありませんか?9月もあっという間に半月が過ぎました。私たち夫婦は今、10月の日本行きに向けて準備に追われています。こちらの10月と言えば、急に寒くなったり初雪も降ったり。鉢植えやらガーデン家具の片付け、今食べごろになってきた庭のリンゴを収穫したり…と、出発までの「To do」リストはまだまだ続きます。

 

今日のブログも、「予防と関係強化プログラム、PREP」から。これまで「4つの危険信号」をご紹介してきましたが、いよいよ最後の危険信号「相手を避ける行為」です。ノルウェー語では、これは一つの単語で「Tilbaketrekking」と言いますが、日本語でどう表現するかちょっと迷いました。Tilbaketrekking は、直訳すると「後ろに下がる、後退する」です。でも、PREPのコンテクストでは、コミュニケーションを避けて 違う部屋に引っ込んだり、また物理的に一緒の空間に居ても 新聞やスマホなどに隠れて コミュニケーションに参加しない、などのニュアンスになります。

 

避けることがパターン化に…

PREPで言う危険信号とは、相手を避けることがパターン化している状態を指します。例えば、長い一日の後、すごく疲れていて「もう、とにかく静かな部屋で横になりたい」とか、一人になりたい時って誰にでもありますよね。そうではなく、パターン化した避ける行動とは、日常的にパートナーと話すのを避ける・話ができないように別の部屋に行く、またはパートナーの話は上の空になって聞いている事を指します。この他、話を早く終わらせようと、黙りこくっていたり 同意しているふりをすることも含まれます。

 

避けられた方が取る行動

もしも、自分のパートナーが自分を避けていて、大切な話もできない状態だったら?たいがいの方は、パートナーを追っていく行動を取ることと思います。「ねえ、ねえ、なんでそっち行っちゃうの?聞いてよ。」と、相手に迫っていくのではないでしょうか。ただ、ここでよく起こってしまう現象は、迫れば迫るほど、相手がますます避ける行動に移る…というものです。人と人とのコミュニケーションって本当に不思議だと思うのですが、パートナーと話がしたいと思って出る行動が全く逆効果になってしまい、もともとコミュニケーションを避けたいパートナーは、ますます自己防御として避ける行動をとりたくなってしまうのです。

こうなると、どうしてこうなったかも わからなくなります。パートナーが避けるから、迫っていってしまうのか。それとも、パートナーが迫られていると感じて避ける行為を取ってしまったのか。

今日のテーマの「相手を避ける行為」という呼び名自体、実は避けられている側からの描写です。避ける行為をする方からすると、もしかすると、相手を避ける必要性を感じるほど、相手を怖いと感じているかもしれません。つまり、避ける行為をとる方にも正当な理由がある、避けられる側にも原因があったのかもしれません。どちらが悪いと一概にいうのも難しいかもしれませんね。

別パターンとして、カップルの二人ともコミュニケーションを避けている場合もあると言ます。その場合もコミュニケーションが無い、ということからカップルの関係に不満がつのっていく可能性があります。

 

PREPの提案

カップルの関係を上手く行かせるには、二人で問題に取り組む必要があるのは公然の事実です。この危険信号についても同じで、コミュニケーションを改善するには、二人で協力しあうことが不可欠です。自分たちのコミュニケーションは一方が避ける方で、もう一方が追いかける方だとわかったなら、自分はどちらの役を担っているかを見極め、それから、お互いがどうして避ける方、迫る方の行動に出るか(心理的カニズム)を理解しあうことも大切です。特に、迫る方には、迫ることをまず辞める覚悟が要るかもしれません。

難しい話を避けてしまう方には過去の家族のコミュニケーションパターンの経験もあるやもしれません。特にケンカをしたり、意見が一致しない場合、感情に訴える家族で育った方なら 自分の感情を大切な人にぶつけることは当たり前だけれども、もしそうでない家族環境で育った方なら、こういった言動にどう対処したら良いかわからないと想像できます。人は未知のものには恐怖を感じるものですから、パートナーに向き合うことよりも、退避する方を選んでしまうかもしれません。

また、恐怖は強い感情ですから、ここでは恐怖や不安を感じる方に、安心感を持ってもらうよう、感情に訴えたり、ケンカにならないよう話し合いを持つ努力も必要かもしれません。

 

システムズアプローチ的問題の見方

どちらかが相手を避ける行動をとり、もう一方が追いかける行動をとる… そして、これを改善しようと同じ言動を繰り返せば繰り返すほど、状況は悪化してしまう。実はこのコミュニケーションのパターンは、家族療法の教科書でもおなじみの例です。システムズアプローチでは、「問題」は個々の個人にあるという一般的な考えから離れ、人と人との関係やことの背景(コンテクスト)が複雑に絡まった状態で発生していると考えられています*1。ここでの「避ける行動」と「追いかける行動」が本人たちにとっては、相手の問題行動に対処しているのですが、これが実際は問題の現状維持を助けています。

PREPでもシステムズアプローチの要素が要所要所で見られるものの、今日の例についての対処法の提案はシステムズアプローチとは少し異なっています。追いかける方の「追いかけ行動」を止める…というところまでは同じですが、システムズアプローチでは、もっと大胆に「追いかける行動と逆の行動」または「パートナーがびっくりするような全く新しい行動」を取ることを提案します。そうすることで、避ける方の「避けたくなるメカニズム」を全く無効にしてしまうのが狙いです。例えば、「君はスマホを好きなだけ一日中見てて、話しをしない日を設けようか」という提案。そんな風に言われ、実際に実行に移せたなら、いくら何でもあちらから声をかけたくなるかも知れません。システムズアプローチ(特にショートセラピーの解決法の提案)は、パラドクシカル・インターヴェンション(逆説的介入)と言われ、少し変わっていますし、実際に効果が出るほど忠実に実行できるかも賛否両論かも知れません。

 

今日のまとめ

やっと最後の危険信号まで紹介することができ、ほっとしています。でも、今日のコミュニケーションパターンが一番難しいかも知れません。「退避」という行動自体、まわりが何もなすすべが無くなるくらい、かなり強力な威力を発揮します。できるなら、そんな行動を一方が取らなくて済むように日ごろのコミュニケーションを上手く取れたら一番良いのですが…。危険信号についての締めくくりの章では、二人の努力を難しくする状況として、一方(または両方の)ストレス・うつ状態・依存症を挙げています。つまり、精神的に健康を害している場合、なかなかプラスに働くように頑張ることも難しいということですね。また、健康を害していない方が理解を保ち続けるのも長期的にはかなり試練になることも多いようです。

 

PREPは15のテーマで構成されていますが、次に取り上げたいと思っているのは もっと建設的なテーマ「二人が一緒になった時」をご紹介したいと思います。ここでは、二人が出会い、どのような経緯で結ばれたか…という、ロマンチックな内容です。

 

今日もここまでお読みくださり、ありがとうございました!

 

*1:家族療法が考え出された当時に名付けられた、システムセオリーの「システム」はこの考えから発祥しています。後に生まれた家族療法では、問題の定義は少しずつ変化していき、今では様々な問題に対する考え方やワークモデルがあります。場所の関係で今回は省略します。

PREP(プレップ)試してみませんか? その4 (4つの危険信号・否定的解釈)

みなさまこんばんは。8月ももうすぐ終わろうとしています。こちら、オスロでは今週から小・中・高と新年度が始まりました。大学も先週から始まり、職場では実習生を一人迎えました。今回は私がスーパーバイザー役なのですが、お世話をするのもなかなか大変だなあ、と感じています。いろいろ体験して学んでいただけたら良いのですが。

さて、今回も「予防と関係強化プログラム、PREP」の続きです。2回続けて「4つの危険信号」について綴ってきました。今日は第3の危険信号、「否定的解釈」についてPREPの教材からご紹介していきたいと思います。ちなみに前回ブログはこちら…

humbleness.hatenablog.com

 

「否定的な解釈」がくせに?

相手の言動を、相手が全く意図しないのに必要以上に悪く取ってしまって 後から全然そうではなかった!と、いう経験は誰しもかならずあるのでは…と思います。相手に自分の解釈を伝えて誤解だったというのが分かることで、通常は丸く収まるのではないでしょうか。でも、人間関係の中で「自分はいつも悪者になる…」とか、「あんたはいつも私の言う事なすこと悪く取るから…」などという「いつも」発言が出てきたら、これはほっておかない方が良いかもしれません。

PREPテキストで挙げられている例は、夕食までに帰ってこないパートナーの話。「私の事なんてどうでもいいから、遅いんだ」という解釈が「道が混んでいて遅くなっちゃった」というパートナーの言葉に先行してしまい、相手が何を言っても聞けなくなっている状態。この場合は、「自分の事を大切にしてくれていたら、道の込み具合を計算に入れて、ちゃんと間に合うように帰ってくるはず」という論理が出来上がっているので、実際パートナーの言い分もただの言い訳にしか聞こえなくなっていると思われます。

 

うまく行くときはただの偶然か?

ギクシャクが長引いている関係では、たまにうまく行っている時も、相手が良い関係のために頑張っているとは思えず、「ただの偶然」と解釈してしまうことが多々あるといいます。こうなってしまうと、この関係とか相手のいい面も、否定的な解釈に埋もれてしまい、なかなか評価するのも難しいかもしれません。負のスパイラルから抜け出すことも簡単ではないかもしれません。

 

否定的解釈の傾向… 問題の根底?

そうはいっても、実際の生活では自分も相手も嫌な言動をしてしまうこと、ありますよね。人間ですから、仕方ないことです。何が相手の本当の意図するところで、それをどう自分が解釈するかって、話し合ってみないことには わからない事が多いかもしれません。わからないままにして、自分の(ネガティブな)解釈が合っていると思い込んでいることも、もしかすると 長引くギクシャクとか険悪な仲の底に隠れているのかもしれません。

 

では、どうしたらいいか…PREPの提案

まず提案されていることは、(否定的な解釈が根底にあるような)険悪な関係においては、強い感情がからんでいるので、一筋縄ではいかないことを理解しましょう…というもの。先の例「この人は私のことなんてどうでもいいんだ」という解釈が常にあるとしたら、本人はおそらく、ものすごく傷ついていたり、この関係に落胆していたり、悲しかったり…といった強いネガティヴな感情を持っていると想像できます。そんな感情が働いていると、新しい事例もやはり否定的に解釈してしまう傾向にあるようです。

二つ目の提案は、自分自身のことや、過去の経験に否定的解釈が起因していないかどうか、振り返ってみましょう…というもの。もしかすると、セルフイメージが低かったり、過去に人から裏切られたといったことがポジティヴに解釈しようとするのを邪魔しているかもしれません。

自分自身への問いかけも勧められています。

  • 自分は相手の意図についてよく批判的になっていないか?
  • 相手を違うふうに理解・解釈できるだろうか?
  • 自分の中の不安感や不信感が相手をネガティブに解釈することに繋がっていないだろうか?

次に、難しいかもしれないけれど、自分の否定的解釈を裏付けているものと「真逆」の事を意識して見つけてみましょう…というもの。例えば、「私のことなんてどうでもいい」「あの人は他人のことばかり大切に考えている」…という解釈だったら、本当に他人の事ばかり優先しているのか、自分はいつも二の次なのか…を覆すような「サイン」を探してみましょう。意識してみると結構見つかるものかもしれません。

 

今日のまとめ

3つ目の危険信号、「否定的解釈」について見てきました。どんな人間関係(夫婦に限らず友人関係でも)相手の言動の意図を疑ったり、すごくネガティヴに取ったり…というのはありますよね。ただ、これが日常的に繰り返されることによって、関係自体も悪くなってしまう、というのがポイントでした。

これはどんな関係にも言えるのかもしれませんが、相手のこと十分わかってる…と思っていても、実はそうではなかった、という事もたびたびあります。カップルの様な近い・親しい仲ほどそう思いがちなのかも知れないですね。PREPではやはりオープンなコミュニケーションを提案しています。相手の意図をこちらで決めつける前に、好奇心を持ってよく話を聞いてみましょう。

 

さて、今日のテーマ、いかがだったでしょうか。私たち夫婦も、ケンカをするときは相手の意図を誤解することが多いのかなー、と感じました。次は4は危険信号の最後、「相手を避ける行為」(Tilbaketrekning)がテーマです。これもカップルなどの関係ではかなり一般的に見受けられる現象で、特に男性が多いような…。次回のテーマが終わったら、もう少し建設的なPREPの内容をご紹介していきたいと考えています。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

PREP(プレップ)試してみませんか? その3 (4つの危険信号・相手を見下す言動)

みなさまこんばんは。お変わりありませんか?大変久しぶりのブログ更新です。ノルウェーでは夏のバカンスのシーズンです。私はといえば、バカンス関係なくいつも通り出勤しています。バス通勤も余裕で座れたり、道もいつもより空いているのが、夏に働くことのプラスでしょうか。小中高が始まる2週間後にはいつものペースになるでしょう。このゆったりペースが終わるのも寂しいですが、不思議なものでいつも通りにそろそろ戻ってもいいかなと思う今日この頃。

さて、2月から始めたカップルの「予防と関係強化プログラム、PREP」。すっかり滞っておりました。前回、5月は「4つの危険信号」と呼ばれるネガティヴなコミュニケーションパターンのその1,エスカレーションについて書きました。

humbleness.hatenablog.com

今回ブログではパターンその2「相手を見下す言動」について掘り下げてみたいと思います。*1

 

前回の復習… 対立やケンカ自体は悪い事ではない

どんな人間関係でも対立やケンカはつきもの…だと前回も書きました。ケンカしてフラストレーションを発散したり、相手にストレートに自分の気持ちなどを伝えられた、わかってもらえた、ということが自分と相手をより親密な関係に導くこともある…というのも皆さんの中で体験された方も多いのではないでしょうか。

PREPが言う4つの危険信号とはこうした類のものではなく、無意識のうちに繰り返され、そのたびに関係が壊されていくものです。なんだかコミュニケーションが上手くいっていない…と、漠然と感じられている方がいらっしゃったら、もしかしてパターン化してしまい 普段は気が付かないうちに繰り返されている危険信号が裏に潜んでいるかも知れませんね。

 

相手を見下す言動 (nedvurdring) のいろいろ

見下す、という行為は相手の価値を縮小すること。パートナーの考え、気持ち、立ち振る舞い、パーソナリティを馬鹿にすることです。あからさまな場合と、そうでもなく、暗に言われる場合があります。例えば、「なんでこんなこともできないの?」(あからさま、はっきりした場合)とか、「次はもっとうまく行くんじゃない?」(励ましているようで実は見下しがカモフラージュされている場合)など。

他の例としては、パートナーが認めてほしい、褒めてほしい、と思っている分野で相手の頑張りを全く無視したり、あらさがしばかりしている場合です。

また、他人の面前でパートナーをけなすような内容を冗談ぽく話す時も相手を見下している言動とみなされます。けなされた本人は冗談が分からない人と思われたくないため、言われたことに腹を立てられない状況に追い込まれてしまいます。

 

解決するには…

この章を読んでいた時の自分のリアクションは、「それ、自分もけっこう言ってるかも」でした。うちの場合は主人がボケで私がツッコミを入れるようなコミュニケーションが多いなあ、と思います。それでも主人本人は気にせずに一緒に笑っているのですが、私自身もかなりきわどいツッコミを入れるので、時々大丈夫か本人に確認を入れなければ…と再認識しました。

PREPがここで「対策」として挙げているのは、パートナーの言動によって傷ついたほうがその旨を伝えるというのもです。そして、当時を一緒に振り返ってみること。

自分の場合も然り、言っている方は無意識だったり正当化する理由があって言っていることがほとんどだと思います。もしくは、ちょっと言いすぎたかも…と良心がチクチクした時に相手にどうだったか確認するのも一つの手立てではないかと思います。

当たり前で、なかなかできない事が「リスペクトを持って相手の話を聞く姿勢」かもしれません。

 

対立状態が長引いている裏には

この章で最後に投げかけられている質問は、対立状態が続いているカップルが居るとして、その裏には 相手にリスペクトされていない、理解されていない、認めてもらえていない…という心の奥底にある感情が隠れていませんか、というもの。自分が相手から見てもらえないと感じるとき、おのずと「私がこんなにひどい思いをしているから、あなたにも同じ思いをしてもらう」といった感情が働く…というのです。

もし、これが真逆だったら… 相手から気にかけてもらえ、リスペクトされ、理解されているって日々感じられたら、相手にも同じものをあげたいって思いますよね。そうなるように、勇気をもってお互いの日々のコミュニケーションを振り返ってみては…というのがPREPの提案です。

 

今日のまとめ

今回のテーマ、相手を賞賛する言動…ではなく、見下す言動。相手に文句を言ったりするのはよくあることだし、無意識に言ってることが多いということで、なかなか正直に振り返るのが難しい事のように感じました。

今回のテーマを取り上げてみて、自分でも夫と私の日々のコミュニケーションがどうなっているか、改めて見てみることができた気がします。まあ、うちはもともと夫の方が人間ができているし、大人だわ…と普段はかなり開き直って 自分はわがままをたくさん言っているような節もあり。いや、それじゃやっぱりいかんですよね。せっかく一緒に暮らしているのに、楽しく嬉しいことが多い人生を一緒に送りたいですよね。

と、言うわけで、反省の意味も込めお伝えしてみました。皆さんはどう考え、感じられたでしょうか。ちなみに、PREPの危険信号はあと2つあるのです。次回は、第3の危険信号、「否定的な解釈」(Negativ fortolkning)をご紹介したいと思います。

今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました!

 

 

*1:このPREP紹介ブログはPREPコース参加者用の教材、「PREP FOR DERE 」ノルウェー語、からの内容となっています。通常PREP参加には参加費などがかかるのですが、ブログを見ていただければ同じ内容が無料でわかる…というコンセプトになっています。

額関節症(TMD) ノルウェー事情アップデート(2022 年上半期)

みなさまお久しぶりです。お変わりありませんか?私はといえば、夏(暑さや日差し)はもともと得意ではないのですが、ここ数年更年期障害も重なって、さらに疲れやすく ちょっとバテ気味なこの頃です。

さて、今日のトピックは前回からもう半年以上アップデートしていなかった顎関節症の治療について、今年上半期ということでまとめてみました。様々なことがありましたね…。結論から言うと、まだオープンバイトは以前のまま。改善はされていません。悪くなっていないだけ良いかもね、と自分に言い聞かせているのですが。どんなふうに参考になるか わかりませんが、何かのお役に立てればと思い、シェアいたしまーす。

 

私の顎関節症・治療ブログ ~前回までは~

顎関節症一般についてはググっていただいた方がより正確な内容を見ていただけるので、あえてこちらでは説明を省かせていただきます。さまざまな種類がある中で、顎関節の骨の部分が変形してしまうものを「顎変形症」というのですが、私のケースはその中でもレアな「突発性下顎頭吸収」らしい…、というのがこれまで判明しました。「らしい」の理由は、結果的に前歯部開咬(オープンバイト)が現れているのでこの診断しかない…という各先生方の見解ですが、すべての症状があるわけではないのです。なので、これに賛成しない先生方もおられました。下顎頭吸収と開咬の関連ですが、下あごの先端が吸収してしまうことで、下あごが短くなり、後方にずれてしまうことで前歯などがかみ合わなくなります。

発症はおそらく2020年の今ころ。初めの自覚症状は、顎がつっかえるようになった感覚があり、話がスムーズにできない、はっきり話せない…など。と、同時に奥歯が妙にがっちん・がっちんと当たるようになったのです。ただ、この時はまさか下あごが動いてしまって開咬になっていることまで 全く思いもつかず。歯並びも、毎日何気に見ているだけでは少しの変化に気が付かないと思います。

顎の骨関係は、日本だったらすぐに口腔外科のある病院などに行けるのですが、こちらは病院は国立で医師からの紹介状がないといけない場所です。(プライベートのクリニックは行けますが、通常は歯科医の紹介状が必要だし高い。)まずはMRIを取って、少し疑わしい点があり、紹介状をもらい、オスロの大学病院に行ったのが同じ年の10月。ここではあっさり「うちでは外科的治療以外はしていないので、矯正歯科を自分で探していってくれるかな」と言われ、帰されてしまいました。ここから自分の患者としての権利を試すべく、オンブズマンさんにお世話になったり、歯科医と相談の上、専門歯科医(補綴系と矯正系)やオスロ大学歯学部専門クリニックで診ていただいていました。自分でも日本の治療論文などを探してみたりして、3・4か所の大学病院で外科以外の治療法が試されていることが分かりました。

去年夏、コロナ禍で初めて里帰りをした際、治療論文でも見たある大学病院でスプリントによる牽引治療を試させてくださることになりました。また、違う大学病院の先生よりイスラエルの治療論文を紹介していただき、英語ですが何とか手に入れ、読むことができました。去年の11月にはヨーロッパの口腔外科医の団体を通して、論文執筆の先生とメールでコンタクトが取れ(でも、案の定返事来ず)、希望の光があちこちに差しているような、すごくハッピーな気分で終わったのが、前回のアップデート*1

 

今現在の症状

あまり普段詳しく書かないのですが、今回はちょっと主症状について書いてみます。まず、2年前にあったような初期症状は今はなく、顎の位置に合わせて筋肉も変化してきたような感じで、話すことは以前より楽になりました。が、調子はアップ・ダウンもあるので、顎の調子が悪い日は顎を動かすのもおっくうです。それから、「サ行」は発音できない時があります。以前頻繁にあった、咀嚼筋の筋肉痛ですが、なぜかスプリント治療で顎を固定して寝るようになってから少し改善されました。でも、痛い時もあり、「あ・い・う・べ」体操*2などでなるべく関節を動かし、筋肉をストレッチするように心がけています。

もう一つの大きな課題が咀嚼。なにせ、奥歯の2,3本しかかみ合っていないので、麺類や薄いもの、細いものは嚙み切れないし、少しずつ口に入れて少しずつ食べないとしんどいです。一番楽なのが厚さがあるもの…。パン類は食べやすいです。ただ、人間って適応性が備えられているもんですね。あれほど、悲しかった開咬も だんだん慣れてきています。もちろん、とても不便ですが、開咬だって人生を楽しく過ごせる、と考えると 少しメンタルで軽減される気がします。

 

スプリント治療…効果のほどは?

今年は3月下旬に里帰りしたのですが、例の大学病院で再診。まったく顎位置が変化していなかったのですが、もともとどちらかというと「試してみる」治療だったので、この時は上あごのスプリントにピヴォットという小さな突起(というかプラスチックの盛り)を付けていただきました。ピヴォットがある方が関節が動きやすいとか。先生に、これまでこの病院でこの治療をされた方々(約10名ほど)のうち、どのくらいの確率で改善されたのかと、もし効果ゼロの場合、考えられる治療は何かというのを伺いました。答えは、ほとんどの方々に改善が見られたそう。でも、ケースバイケースがあるので、私の場合はこれが無効果だった場合は矯正に入るのが良いのでは…とのこと。とりあえず、最低1年くらいはこの方法を続けてみても良いのではとのご意見でした。

 

オスロ大学歯学部・補綴科専門クリニック

私が行っていたのは補綴科だったのですが、初回の説明では矯正科に回していただくことも可能とか。でもこれは違っていました。担当の先生(専門歯科医コースに通う一般歯科医の先生)は「絶対原因を突きとめますからね」と、ずいぶん意気込んでくれていたのですが、結局はっきりした診断はここでもされず。「おそらく」下顎頭吸収…とのこと。まあ、はじめっから分かっていたんですけどね。最終回では、作ってくださった自分の歯型模型で、補綴系(かぶせものや削る)治療ではどう開咬を改善させられるかを見せていただいたのですが、先生曰く「あごの角度はだいたいで、正確には測れていないのよね」とのこと。うーん、顎の角度が変化した故の開咬なのに、なんだかアバウト。模型ではかなり上下の奥歯があちこち削られていました。でも、削るっていってもクラウンもあるので、場合によってはクラウンのつくり直しが必要になったりと、かなり費用がかかるかもしれない、とのこと。(またしても、アバウトなのが、削る想定の歯の神経の位置関係などは全く見ていない。)まあ、あくまで「これが治療の一例ですよ」的なものと理解しました。まだ請求書は届いていないものの、歯学部といっても歯科関係は全額負担なので、ウン万円はくだらないでしょうね…。あまり意味のない感じでしたが、でもやるべきことは やってみた…感あり。

 

オスロ大学病院・口腔外科の部長と対決

さて、大学病院は以前からお伝えしているように国の管理下にあり、独自の法律で患者の権利などが(一応)保護されています。詳しくお伝えするスペースがないので省略ですが、私が理解するところ、患者の私が病院の判定である「外科的治療は行っていないので、あなたを治療することはできません」に不服である場合は、クレームする権利、そしてクレームは通常判定を下した機関の病院に出すもので、病院が初めの判定を変更しないと決定した場合は、速やかに上訴機関のStasforvalter(スターツフォルバルテル)にクレームを送る義務があります。去年、実は病院がなかなかクレームを転送していないのにヤキモキして、直接Statsforvalterにクレームを送り、病院が義務を遂行しない旨もクレームしました。12月頃、私にStatsforvalterより、病院あての勧告状のコピーが届きました。つまり、義務を果たしていない病院に対するお叱りの手紙です。

2月、以前から骨の吸収が進行性なものかどうかを調べてもらうべく、同じ口腔外科に出向いた際、このクレームについての話になりました。外来担当医は「しぶしぶ」といった感じで、「じゃあ、部長と面談の予約とってあげますよ」と、この5月に予約を入れてもらったのでした。親切…というよりは完璧に責任逃れな感じですね。

さて、行ってみると再診の診察だと思い込んでいた部長と対決…。と、いうのも、私が望んでいる非外科的治療(例えば、日本やイスラエル)は、口腔外科からすると完璧に矯正歯科医の領域だという理解が私にはどうも腑に落ちないから。その旨もはっきり伝えました。矯正歯科医は通常、歯を動かす専門だけれども、顎関節の知識はやはり口腔外科医にはかなわないのではないか。ましてや私のように骨の吸収が起こっている患者にとっては、顎関節の知識が浅い医師にはかかれない…と、いうのが私の主張。現に矯正治療がきっかけで開咬になる患者さんも、かなり居る。だから、矯正歯科に回そうとする病院の意見は全く反対である…と。部長さん、この意見は一理ある…と、かなり我慢強く聞いてくれていたのですが、かなり横柄な態度の方でした。そして、例のイスラエルからの論文も「こんな治療を希望しています」の例で見せてみました。初めのリアクションは、「ああ、こんな治療法はどこの矯正歯科でもやってるよ」そして、「これ、どこの学術誌?信用できるのかなあ」。でも、私が何が矯正歯科治療と違うのか(ど素人ながらも、読み込んだ論文ですから。この何ページのこの患者さんは私の症例に似ている…と伝えたわけです。)できる限りお伝えしたところ、同じ症例の患者さんの治療データをもっと持ってきたら 海外治療を承認してもらう可能性*3があるかもしれない、と言い出しました。この日の面談では、これが結論となりました。ただ、例のクレームは私は取り下げないので、病院側の義務を説明し、速やかに転送してくれるようリマインドしました。部長さんは外科医なので、全くこの手の事務的知識はない模様…。(ある・ある、ですかねえー。)

 

イスラエルの先生

治療データかあ。たぶん、私みたいな一患者が頼んでもダメだろうな…。この論文の先生は11月以来お返事がないので、ちょっと気が引けたのですが、とりあえず事情を説明して、メール送信。でも、もし海外の患者を診てくれて、治療費を提示してくださるなら、国の援助云々は関係なく診ていただきたいです…とも、アピール。イスラエル…ニュースで見る以外はどんなカルチャーでどんなシステムだか全く見当もつかないのですが。とりあえず、先生がお勤めの病院のHPをチェックすると、かなり英語で書かれた部分が多いので もしかして海外から患者さんを受け入れているのかも…と、また希望が湧いできました。

 

まとめ

今日は長くなってしまったのですが、この半年間で起こった顎関節関係の体験を綴ってみました。病気って、本当に思いがけない時、思いがけない形で表れるものだなあ、とつくづく思います。今回はたまたま顎関節で、命に関わらない病ですが、本当にいつ何があるかわからないですよね。

私も正直、これからこの顎・かみ合わせがどうなるかわかりません。歯を抜いたり、削ってしまえば、時間は短くて済むのでしょうが それもまだやりたいとは思えません。いろいろやってみることで また先も見えてくることでしょう。

長いブログ、最後までお読みくださり、ありがとうございました。みなさまもお体に気を付けて。

マイ・ユニ

 

 

*1:前回少しご紹介した、Nye metoder、という新しい治療法を提案するのも、やりましたがやはり却下されました

*2:

www.minato.coop

*3:必要な治療がノルウェーの病院で受けられない際、海外の医療機関での治療費などを援助してもらえる制度があります…。が、どの治療でも良いというわけでもなく、承認されるにはこの部長さんが言うようにデータが必要です。

PREP(プレップ)試してみませんか? (その2・4つの危険信号・エスカレーションとは?)

こんばんは。大変ご無沙汰しております。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

今日は(ノルウェー時間で)5月16日。明日は年一回、国中がお祝いムードになる憲法記念日の「セッテネ・マイ」(17.maiと書きます。5月17日の意味)です。民族衣装などを着る人も多く、今ころはリネンのブラウスにアイロンをかけたり、とにかく明日の準備に忙しい日でもあります。こちらのコロナは、というと、5月に入ったころよりPCR検査場もすべて閉鎖してしまい、事実上 新規感染者の登録もなくなったと言っても良いかもしれません。

前回ブログではロシア侵攻後のヨーロッパから日本への迂回路線の件も含め、私の一時帰国のトピックでした。今日は2月にご紹介したカップルの「予防と関係強化プログラム、PREP」の続きで、4つの危険信号を順にみていきたいと思っています。初回のリンクはこちら:

humbleness.hatenablog.com

 

カップルの関係に対立はつきもの

人間関係には親子でも、夫婦でも対立やケンカはつきものだと言ってよいと思います。ケンカの中でも「建設的」なものもあり、言い合ってしまったけど、逆にお互いの本音がわかったり、フラストレーションを吐き出せたりと 絆をより一層強くする働きのものもあります。

ただ、そうではなく、もしもケンカや対立が関係を悪くし お互いに一緒にいる意味を感じなくなってしまったら?PREPではこの類のケンカ(コミュニケーション)は「パターン化」しているといい、これが無意識のうちに繰り返されている…と提唱しています。そして、このパターンに気が付いて言動を改善していくことで、関係が壊れてしまうのを回避していこうというのが狙いです。このパターン化した言動を「4つの危険信号」と呼んでいます。これらの危険信号は実はとても身近なもので、誰でも経験があったり身に覚えがあるのではないでしょうか。今日はその中から最も一般的な危険信号、「エスカレーション」をご紹介します。

 

パターンその1 エスカレーション (opptrapping)

何かの理由…、例えば約束に相手が遅刻したとか、やるのを忘れた、とかでケンカとなり、どちらも自分の正当性を主張し、相手に勝とうとして 言い争いの収拾がつかなくなっていくコミュニケーションを、エスカレーションと呼んでいます。たいがい、この時お互いに怒りも強くなっていき、冷静に考えられなくなってしまいます。相手の意見を聞くというよりは、次になんて言ってやろうかと考えています。強い感情が働くので、相手にどなったり、時には物にあたってしまったり ひどいことを相手に言ってしまったりするものです。結果はどうなるかというと、お互いに傷つけあって、嫌な後味がのこり、誰も得する人はいません。

みなさんは、どのようにヒートアップしてしまったケンカを終わらせていますか? PREPでは以下のことを提案しています。

 

早い段階で中断する

ああ、また言い争いが始まって来た…と、気が付いたら 一旦「わかった、わかった。怒ってるのはよくわかった。でも、いったんやめて後でまた話そう」と、一方が早い段階で引くことです。一人がちょっと引くことで、相手もちょっと落ち着きを取り戻すのが期待できます。それはどうしてかというと、言い合いをするのは通常、自分の事を見てほしい・聞いてほしいという欲求から来るもので、「わかった」と相手に言ってもらうことで少しこの欲求が満たされ、エスカレートさせる必要がなくなるから…ではないでしょうか。

 

自分が正しい=相手に勝つ…のをやめる

この言い争いで自分が正しいと証明したからといって、どんなメリットがあるのでしょうか。自分が正しいと証明することより、もっと夫婦(カップル)でチームとして上手くやっていく方が大切なのではないでしょうか?もしも最終的に何が大切でどこを目指しているかわかっていたら、無駄な言い争いも意味がない…と、思えるかもしれませんよね。

 

落ち着くために他のことをする

近しい人との言い争いって、本当にむかついたり傷ついたり、強い感情がわいてくるものです。かといって強い感情で心がいっぱいになっているうちは冷静に話すことも難しいと思われ、どうしても心を落ち着けさせることが必要になってきます。こういう時は、いったんその場を離れ、散歩やジョギングに行ったり、怒りのエネルギーを他の建設的なこと(例えば家事)に向けてみるのはどうでしょうか。

 

今日のまとめ

対立が言い争いになってしまって、いわゆるここでいう「エスカレーション」してしまう事って、「ある・ある」とうなづいていただけたかと思います。うちも例にもれず…たまに「やっちゃったよ」ということはあります。(ただ、ひどくなる前にやめるように心がけておりますが。)

実際私がお話を聞くカップルの方々には、「ケンカが絶えない」という方々もいらっしゃって、この時のケンカのパターンはエスカレーション型が非常に多いかと思います。そして、気になるところは「どんなふうにケンカされているか、ケンカについてパートナーとお話されていますか?」と聞くと、ほとんどの方が「話していない」というのです。もしかすると、あまり日常どうやってコミュニケーションしているか、普段から話ができない…という方々もいらっしゃるかもしれません。こちら、西洋ではやはりオープン・コミュニケーションが良しとされている文化的な背景もあり、PREPなどで提唱されていることもはやり「夫婦でよく話し合いましょう」的なアドバイスが多いのです。ただ、パートナーとあまり話ができない、相手がそういったことを好まない場合もありますよね。人と人との間のコミュニケーションって、相手の出方に影響されることも多く、もちろん自分が出方を変えれば 相手の出方も変わって来ることも期待はできるのですが…。やはり、カップルの関係って二人の人が作っているもの…と考えると、一人ではなく二人でこのことを一緒に考えられるのがベストだと思っています。

 

さて、次回の「4つの危険信号」は、パターン2「相手を見下す言動」をご紹介したいと思います。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

 

夫と一緒にノルウェーから一時帰国 入国・隔離編

みなさまこんにちは。今回は前回の続きで、いよいよノルウェー国籍の夫との検疫・入国手続のところから綴ってみたいと思います。

 

夕方午後5時・羽田空港到着

15時間のフライトを経て、やっと羽田に着陸。以前もそうでしたが、機内で10‐15分ほど待たねばなりませんでした。私たちの乗るはずだった2日前の便の欠航で、この便は振り替え便だったのですが、ラッキーにもプレ・エコへアップグレード。プレ・エコ部分も少しだけ空席がありましたが、およそ8割がたは埋まっていました。すると通路を挟んだ隣の3席並んだ空席に年配の男性が移動してきました。その方は「鼻出しマスク」で咳をかなりされていて、一つ通路を挟んだ私たちもちょっと冷や汗もの。確か、前後左右の2列に空港検疫での陽性者がいた場合は7日間の自主隔離になってしまうからです。

 

やっと搭乗機から出たところで、最初はファストトラックのQRコードを見せるところから始まりました。たしか、質問票を登録したところでQRコードスクリーンショットで取っておくように画面で指示もあったかと思います…が、これがこの時に使うものとは知らず、夫も私も空港のWifiにアクセスしたのですが、ネットがなかなかつながらず焦りました。降機してきたお客さん100人以上が一気にその狭い空間でごった返して ちょっとカオスになっていました。スマホなどにイマイチ弱い夫などはそこでもたもた…。(ですので、スクショしたQRコードはここで使うものと皆様にはお伝えします…)それから必要だったのはファストトラック画面のワクチンの日付が書いてある場所。ここもスクショするよう、その場で言われたのですが…。(My SOSを入れられるようにスマホを買い替えていた夫…。ここでもスクショがすぐにできず、あたふた。皆さんはそんなことはないと思いますが…。)QRコードについては、この最初の入り口以外にも数回見せるように言われます。なんだって、何回も見せなければいけないのかは理解に苦しみますが…・

次に検査用の容器を渡されて唾液採取のポストに来ます。親切にも唾液量を確認してくださる職員さんが居たので、助かりました。それからスマホのアプリ確認のポストでMy SOS・位置情報をチェックされました。ノルウェーはかなり前に「強制隔離指定国」から除外されていて、ワクチン証明がある私たちは下のチャート(厚労省のHPより)の「待機なし」が適応されると伝えられましたが、My SOSと位置情報はオンにしていなければなりません。

私自身の感覚では去年の8月、ファストトラックがなかったころに比べると、やはりとても楽でスピーディになった感じです。事前に審査していただけるのも良いと思いました。

 

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さて、いよいよ最後、空港での検査の結果待ちは大きな待合室の様なところで画面で番号が表示されるという仕組みになっていました。数百人くらいの、かなりたくさんの方が居たと思います。ここには自動販売機で飲み物やスナック類が売られており、お手洗いも行けました。30分ほど待ったでしょうか。自分たちの番号が表示され、いよいよ受付に並び、結果をいただきます。ここでも、マジで祈りました。だって、万が一どちらか、又は二人とも陽性だったら困っていましたもんね。幸いなことに、二人とも陰性。私は自分のことに夢中で見ていませんでしたが、夫は同じ列の先の方に陽性だった方が居て、違う場所に案内されていたのを見たと言っていました…。(陽性が出たら空港からは自分で出られない仕組みです。)

そして陰性を示すピンク色の紙をもらい、入国審査へと進みます。今回、外国人留学生や夫の様な配偶者短期ビザの方も増えていたせいか、この列もかなり長かったです。ここでも30分は待ったでしょうか。ここに並ぶ間に夫情報で、例の「鼻出しマスクおじさん」も陰性で空港から足早に出ていったと聞きました。とりあえず、ホッ。この列に私たちの前の列に座っていたご家族も居て、前と右(私たちは左はじの最後部だったので)の方々は陰性だったことがわかり、とりあえず濃厚接触者になる可能性は低いと見たのでした。

入国審査ではパスポートのビザを見せ、戸籍謄本を見せたらあとは問題なく通過できました。夫はチェックイン時の件もあり、ここではかなり緊張していたようですが、本当にすんなり行きました。戸籍謄本も、実はビザ申請時の必要書類なのでこれを前提にビザをもらっているのですが、大使館で伝えていただいた通り提示が必要でしたね。

 

バスに乗れる幸せ

全ての検疫・入国審査を終わり、荷物を受け取ったのが夜7時半。着陸から2時間半かかったというわけです。平日の夜とあり、満員電車も辛いので今回はエアポートバスで実家のある町に向かいます。いやあ、前回と違い すぐにバスに乗れたのは嬉しかったです。これがハイヤーなら費用もかさみますし(片道2万円くらい)空港でどのくらい時間がかかるかわからない中で、またストレス要素でしたね。

実家の母は私たちにすぐに来てもいいと言ってくれたのですが、他の家族がこれには反対なこともあり…。私たちも万が一にそなえ、政府の待機期間中(到着日の翌日から3日間)は同じ町にある長期滞在型ホテルを利用しました。

ホテルに着いてからMy SOS画面の位置情報を送信。次の日には(隔離は実際免除なものの)隔離期間終了日が画面に現れました。結果的には濃厚接触者になったとの知らせもなく、「待機免除」イコール 位置情報確認、健康状態確認、またAIによるビデオ通話など、去年隔離期間にあったすべての通信は今回は全くありませんでした。隔離終了日が経過した次の日、下のメッセージが表示されました。ここでMy SOSのお役目も終了です。

 

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さて、今回の隔離期間は前回とは雲泥の差となりました。去年12月にオミクロン株のせいで一時帰国が延期になった私たちでしたが、今思えば延期になって良かったなあと。12月の時点ではまだ14日間の自主隔離期間(そしてノルウェーはオミクロン蔓延国として強制隔離期間も6日間あった!)もばっちりありましたもんね。そんなわけで、今回の滞在は着いた次の日から普通に動けるとても自由なものとなりました。

海外におられてご家族で一時帰国を計画されている方々も、もちろん陰性証明などはかなりストレスだとは思いますが、一度入国したら実際の隔離期間はかなりコロナ以前に近くなっていますので 是非トライされてみてください。今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

夫と一緒にノルウェーから一時帰国 準備・出国編

「これって、アリ?」12月初旬、日本政府による短期滞在ビザの無効化。夏から着々と準備を進め、お正月帰国を指折り数えていたノルウェー国籍の夫と私にとってはショックすぎて立ち直れないかと思った出来事でした。

そして、それから3か月…。とうとう念願の一時帰国を果たすことができました!個人的にSNSでこのことを公表したところ 反響をいただきましたので、またここにブログとしてどんな体験だったか綴っていきたいと思います。今日は準備、出国編。

 

1月中旬:短期ビザ「特段の事情」枠で再トライ

以前ブログでもご紹介した、私たちの強ーい味方、ユーチューバー「ダイスケ」さん。この方のフォローをしていた1月のある日…。【緊急】査証発給の現状について - YouTube

なんと!視聴者さん情報として他国でビザ発給が始まったとのこと。次の日、早速オスロの大使館に確認を取り、「特段の事情」を説明した手紙を書いて持ってくるように指示されました。そこで、以前提出した申請書類のみでビザ再発給を審査してくださるというのです。今回は夫に自分で行ってもらったのですが、驚いたことに手紙を提出すると即発給していただけました。

この後はみなさんもご存じの通り、外国人の入国緩和となってきましたよね。

 

コロナの次は戦争 ー ロシア迂回でフライトがなくなる

3月末の航空券もゲットし、短期ビザも再発給。「さあ、これで一安心」と思った矢先のロシアによるウクライナ侵攻。前回ブログでも書いた通り、3月に入ってからはフライトが次々に欠航となり、乗る予定だったヘルシンキー羽田のJL48便も欠航が相次ぎました。当初はJALはヨーロッパ路線を羽田ーロンドンに絞っていたので、この48便も当然なくなるものと覚悟。この航空券はフィンエアーの公式サイトで購入したのですが、フィンエアーに問い合わせても搭乗便が欠航になるまでは便の変更はできるが差額発生時は自己負担となるとのこと…。そして、HPで見る限りチケット代も2倍とか3倍へ高騰。フィンエアー自体は3月初めに早々とすべての便を欠航にしていたので、もしフィンエアー便を予約していたらこの段階で振り替え便を手配していただけたとのこと。ところが、JALは欠航の公表がスローで、例えば全日空が3月中旬には3月いっぱいの欠航を発表していたのにも関わらず、私たちの便は1週間前になっても一向に欠航になりませんでした。*1 欠航が決まり、振り替え便の手続きができないと(出国72時間前からの)PCR検査も予約できません。「早く欠航を発表してください」とJALにクレームせど、「申し訳ございません」ばかり。フィンエアーにもどの便に振り替えられそうか問い合わせましたが、4月14日までは自社便は満席…との答え。…焦りました。

 

出発までの怒涛の日々

JALの欠航便案内をほとんど一時間おきにチェックしていた数日間。最終的に私たちの便の欠航が発表になったのが、搭乗4日前の3月23日。この日はたまたま仕事の予約がキャンセルになり、ラッキーにもオフィスで事務作業をしていたので HPを見てすぐにフィンエアーに電話できたのです。それでも待つこと45分…。私のブロークンな英語も丁寧に聞いてくれ、空いていたのが予定の2日後のヘルシンキ乗り換えの便。なんと、JALは私たちの欠航便の次の日からヘルシンキ便を再開したのでした。他に空きがある便はオスローロンドンーNYー羽田(40時間以上)、またはオスローロンドンーシンガポール―羽田(30時間以上)だったので、2日遅れでも最短距離の便があってラッキーと言えるかもしれません。

お次はPCRの予約。今回も事前にメールで日本の陰性証明の記入をしてくれるか確認した後、ファミリー割引があるクリニックを選びました。昨年私一人の時はエクスプレスという一番高い検査を受けましたが、今回は二人で念入りに抗原検査を家で何回かやって陰性を確認してからスタンダードタイプの検査を選びました。土曜日の夜8時半に受けて、結果が来たのが日曜の朝8時ですから、割と早かったと思います。ただ、こちらが記入してくれたのは検査結果の部分のみ。名前やパスポート番号は自分で記入するように言われ、あちらでは書いてくれなかったのです。これには(おそらくナーバスになっていたせいもあり)クレーム出しました。もし筆跡が違うと言っていちゃもんつけられたら、どうするんだ…ってことで。クレームを出した先はこのクリニックの本社のある事務所で、さすがにボスの方は対応も良かったです。新しい陰性証明を書き直してくれることになりました。

この冬から春にかけ、職場でも親戚でも次々にコロナにり患している中、最後のPCRで陰性になるかどうかでは本当に神経をすり減らしました。仕事以外では人にもなるべく会わず、マスクも常時着用。なので、私として行けるかどうか早く知りたいと思い、早めの検査を選びました。夫の方は検査を受けてから、空港で陽性になったらどうしようとかなり心配していたようです。

さて、もろもろの手配と並行して今回は「ファスト・トラック」を試してみました。ダイスケさんの動画はこちら:

羽田など4空港へ拡大。スマホで事前登録、検疫時間の短縮なるか【日本入国ファストトラック】 - YouTube

陰性証明(書き直してもらったもの)をアップロードできたのは出発前日だったのですが、日本が夜中の時間でも審査されていたようで、画面はグリーンになりました。ファストトラックについては入国編で後日お伝えいたします。

 

出国・チェックイン

前回、去年8月の帰国時はチェックインカウンターが開いたのが通常通りの2時間前。今回も列の先頭になっておいた方が良いと読み、3時間前にはチェックインカウンターの前に並んでいました。ところが、今回チェックインが始まったのが2時間半くらい前。ちょっとびっくりでした。

ここでは夫のパスポートにもらったビザが問題に。グラウンドスタッフ曰く、「このほかに何か大使館からの手紙や証明書があるはずだ」と。そう言われても今回は平日の昼間の時間だったので「何なら大使館に今電話しますよ」とかわして(スタッフの方は代わりに相談しに行っちゃいましたが)それほどナーバスにならずに済みました。平日の昼間の移動、いいかもしれませんね。案の定、この後大使館に電話で確認しましたが、スタッフの勘違いということでお答えをいただきました。短期滞在ビザ(Vのタイプ)は、パスポートのシールのみで大丈夫です。このあと、ファストトラックのQRコードを見せ、陰性証明を見せチェックイン完了。

ヘルシンキに着いてからは、前回同様、JALの搭乗口に進み、事前にファストトラック画面と陰性証明を見せてその後は乗るだけ。そうそう、出発数日前に気が付いたのですが、振り替え便にしていただいた時になぜかプレミアムエコノミーへアップグレードしてもらえていました。実はコードシェア便としてJL48ではなく、AY5073でチケットが発行されていたので、JALサイトでの事前座席指定ができず(そしてJALヨーロッパ地域のカスタマーサービスも全く電話がつながらず)普通にウェブチェックインしたときに座席指定がやっとできたのですが、並んで座れる席が空いていたのでラッキーでした。

 

人生初めての長いフライト

さて、実際のフライトですが 向かい風の影響もあり、15時間のフライトとなりました。すっごく長かったです。(改めて、お子様連れの方々、お疲れさまでした)ただ、いつもはあまり寝る時間がないなあ…と思ったりするのですが、今回は時間が有り余るので5時間ほどは寝られたかもしれません。いずれにしても、迂回ルート(北回り)は遠いですね。機内サービスは通常通り夕食と朝食の2回と、夜中(?)にマフィンが配られました。日本に午後5時に着くのも私にとっては新鮮な体験でした。

 

自分への教訓

もちろん、戦争なんて本当に予期できない事態ではあるのですが 今回のように多くの便が欠航となり不安定な状態では、航空会社の自社サイトでオリジナル便のチケットを持つのが一番なのかな…と、思いました。フィンエアーJALは提携しているから…と思っていた自分は甘かったです。フィンエアーJAL便買いすると、旅行会社で買ったものと同じような扱いとなり、JALに問い合わせても「フィンエアーに聞いてください」となりますね。

 

さて、次回は羽田空港での体験について綴ってみたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

*1:3月15日の日本航空HPでは、私たちの搭乗前日までが欠航となっていたので、羽田から機材が来ない以上、この時点で欠航は事実上決定...でも公式発表がないと手続きは不可という...