ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

ノルウェーからウクライナ侵攻を見る ー 世界中を巻き込む非常事態でメンタルを守る大切さ

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか?前回ブログを書いた約一か月ほど前は コロナはあるとはいえ、何と平々凡々とした日々だったのでしょうか… 一か月前と言えばまだ北京オリンピックの最中で、ノルウェー勢が大活躍して盛り上がっていました。私たち夫婦もうちの2階のペンキ塗りをしつつ、週末の午前中は競技を見ながらテレビの前で朝ごはんを食べたり。なんと平和だったことでしょうか… 

今日、本来ならまた「プレップ」の続きを書こうと思っていたのですが、2月23日以来 あまりにもさまざまなことが起こり、やはり日常から書くことに変更しました。今のこの心境・状況を記録しておきたい…という気持ちからです。

 

ウクライナ侵攻後のノルウェー

ノルウェーは北の地方でロシアと国境を接していますが、この地域にお住まいの方々が脅威を感じ始めているということと、反戦デモなどのニュース以外では 特に身の回りの変化は感じていません。ロシア人の友人が二人ほどいるので、友人たちに「元気出してね」的なメッセージは送りました。一人の友人は、私への返事の中で、自国の知り合いや家族とはこの話はできないと語っていました。これは日本のメディアなどでも伝えられている通り、Putinを指示する層が多数いるということでしょう。

ウクライナ侵攻が始まって以来、こちらのメディアでも毎日トップニュースで報じられています。丁度NATOのリーダーが元ノルウェー首相のJens Stoltenberg (イェンス・ストルテンバルグ)なのも関係しているでしょうか。いずれにしても、ロシアは隣の国なので関心の高さは理解できます。

先週あたりからウクライナからの難民を受け入れ始めたというニュースも入ってきました。国営放送のNRKがチャリティーコンサートを流したのも先週です。もともと非営利団体の活動が活発なノルウェーですが、町のあちらこちらでも団体が募金を呼び掛けるポスターを見ます。今晩のニュースではノルウェーは最大2万2千人を受け入れる体制があるそうです。

私の職場でももしかしたら難民受け入れに関わるかもしれない、とも最近お達しがありました。今の職場につく前に、オスロ市が運営していた難民収容所で働いていたこともあり、おおよそ難民となるとどんなプロセスを踏むかはわかります。外国人管理局によると、ウクライナの方々は集団的保護が適応になるため、難民申請したらそのまま許可となるようです。許可が降りると各自治体の受け入れ態勢が整えられるまで待機ですが、ここ数年は難民申請数が減少だったことで 割とキャパシティーは大丈夫なのかな、という印象です。それにしても、幸せに暮らしてきた国を離れ、新しい環境で新しい言葉を覚えて…と、難民の方々にとってはものすごく大変なプロセスになりそうです。

 

個人的に影響されたこと

ウクライナは元ソ連、イコール「東側の国」というイメージもありますが、近年は民主化も進んで人々が何不自由なく暮らしている国でした。言ってみたら、私や家族と何ら変わらない人々です。そんな方々の国があんなに破壊されているのは これまでのどんな紛争よりもとても身近に感じられ、かなりショックでした。私たち夫婦ももしこんなことがここで起きたらどうするか…どこに避難するか、なども話し合いました。もしも、NATOがロシアに反撃を始めたら、あっという間に第3次世界大戦となってしまいますし(ノルウェーは加盟国)、先述の通り、ロシアはすぐお隣。自分たちでも「こんな話をすること自体がまだ信じられない」と思うくらい、非常事態モードなのです。

もう一つはロシア航空海域を飛ばないことから来る各航空会社便への影響。年末の一時帰国を断念し、今月末に再度トライしようとしていた私たちですが、いつ日本に行けるのか今のところ未定となっています。(もし、運よく日本に行けた暁には、ご報告しますね…。)

そんなこんなで、最近注目しているのは「どうやってメンタルを守るか」ということ。「ウクライナの方々がこんな悲惨な目に合われているのに、自分も彼らの身になってあげないと…」という気持ちで日本・ノルウェーのニュースなどをかなり見ていたのですが、ちょっと今ペース・ダウンしなければというのに気が付きました。私には今日の生活もあり、仕事もしなければなりません。悲惨なニュースばかり見ていては、悲観的になってしまいますよね。今日のチーム・リーダーとの会話でも、彼が「もうこんな世の中になって、長生きしたくないな… これから何が起こるかわからないよ。」と言っていたのを思い出しています。そう、人間は楽しい事・希望が持てることがないと 元気が出ない、やっていけない…。普段はこんなことは当たり前かもしれませんが、こんな非常事態の時には 特に自分に言い聞かせないと…と感じています。そして、個人的なことですが、(キリスト教の)信仰があって祈れることがとても感謝なことです。

 

「コロナの次は戦争か…」と言われる方々も多くいます。全くその通りですよね。一日でも早くこのパンデミック、この戦争が収束を向かえますよう お祈りします。

PREP(プレップ)試してみませんか? (その1・PREPとはなんだろう)

みなさまこんばんは。お変わりありませんか?

こちらノルウェーでも北欧隣国にならい、『ウィズ・コロナ』が進み、ついに先週土曜日より、ソーシャルディスタンスやマスク規制も撤廃となりました。私は、というと、周りを無視してこれらをもちろん続けています。職場でこの旨同僚たちにメールで知らせたところ、「知らせてくれてありがとう」と、ポジティヴなリアクションをもらいました。

さて、今日は以前からずっと考えていたブログ構想を実際に文字にしてみます。私はファミリー・セラピストとしての経験はまだまだ浅いのですが、ボランティアや副業のカウンセリングで頻繁に思うのは「コミュニケーションさえもうちょっと上手く行っていたら、もっと仲良くできそうなのになあ…」というご夫婦やカップルが非常に多いということです。特に今のコロナ禍が長引く状況で、もともとあまり上手くいっていない関係だったとしたら、悪循環に陥ってしまったり。カップル・セラピーは敷居が高い…という方々に向けて、もしかしたら私にもできることがあるかもしれない…と、思いPREPをご紹介していこうかな、と思いました。

 

PREP イコール 夫婦関係改善と問題予防のプログラム

PREPは英語のPrevention and Relationship Enhancement Programの略で、直訳すると「予防と関係強化プログラム」となります。何を予防して強化するかというと、ずばり夫婦・カップルの関係です。PREPはもともと80年代に米国・コロラド州デンバー大学の研究をもとに開発されたプログラムで、その研究は30年以上に渡るといいます。ノルウェーでは、Modum Bad (モードゥム・バード)という全国的に知られている精神保健の研究施設で、PREPをノルウェー仕様にする権利を取得し、PREPコースのコースリーダーを養成する役割も担っています。*1実は私と主人もPREPコースのミニバージョンを受けたことがあり、ファミリーセラピストの勉強を終えた後も、先生の勧めでコースリーダーの資格を取りました。その当時、Modumにノルウェー語で書かれた教材(コースで参加者に配られるもの)を日本語に訳して使用していいかどうかの許可を取り、とりあえず許可は頂いたものの、なかなか前に進めずにいたのです。(日本語って本当に難しい言語ですからね…と、言うのはちょっと言い訳っぽいですが…)そんなわけで、私的にはコースを開くのではなく、先にもお伝えしたとおり、ご夫婦やカップル間の問題の中核がコミュニケーションにあるかもしれない、と思った場合はPREPのエッセンスからアドバイスなどをさせていただいています。

 

PREPは学んで練習してみるプログラム

さて、わかりやすく(と言ってもノルウェー語バージョンのみで申し訳ないのですが)ModumのHPにPREP の紹介があります。フルのPREPコースは14課からなっており、ざっと簡単にご紹介すると、自分たちのお互いとの関わり合い方(コミュニケーション)で危険因子はないか探ってみたり、もしいつもケンカで終わってしまって大切なことを冷静に話し合えない場合のコミュニケーションツール(スピーク&リッスンテクニック)を実際にコースで試してみることができます。日常の様々な問題をどうやって解決していくか、も学びます。また、どうしたら関係にもともとあった強みの因子(リソース)を強化していくことができるか…など。簡単に言うと、弱い所を補正して、強い所をより発展させていく…ものです。これはアメリカ発のコンセプトなので、いかにもアメリカっぽい感じもするのですが、30年以上の研究に基づいているし アメリカには多文化カップルも多いので もしかしたらどの文化にも普遍的に役立つプログラムかもしれないですね。*2こうして文章に書いてみると簡単に聞こえますが、やっぱりやってみると親しい間柄のコミュニケーションを改善するって言っても、なかなかそう簡単ではないですよね。

PREPではカップルの一人だけではなく、お二人で同じことを学んで試していただくことに重きを置いています。そうすることで、やってみたら難しいというのも一人ではなく、二人で体験してもらおうという仕組みです。

もともとカップルでしっくりいかない場合、バックグラウンドに重度の精神障害や(薬物などの)依存症、DVなどが潜んでいない限り二人のうちどちらかが「悪いから」上手くいかない…ということは非常にまれです。逆に二人のお互いのコミュニケーションがかみ合っていない、つまり誤解が多かったり、それぞれのコミュニケーションパターンがものすごく違っていたり、また取り巻く環境が大変すぎる場合だったりしたときに、本当は二人とも上手くいかせたい、仲良く楽しい毎日をパートナーと過ごしたい…と思っているのに何故か上手くいかない…でも、どうしたらいいかわからない…という悪循環になっていることが多いのかな、と感じます。せっかくお互いに上手くいきたい…と思っているのに、上手くいかなくなってしまってはもったいないですよね。

 

ブログでご紹介していくのは…

通常PREPはコースであったり、個人的なカウンセリングの場面で使われているので、ブログでお伝えするには多少 チャレンジがあるかな…と思います。ただ、こうして複数の方にご紹介し、必要とあらば試していただくことで まだまだ終わらないコロナ禍の日常でありうるカップルのギクシャクを少しでも改善していただけたら…と願っています。

取り上げる項目、次回はPREPノルウェーの教材に乗っ取って、まず カップルに潜んでいるかもしれない「4つの危険信号」から行ってみたいと思います。

 

どちら様も、引き続きご自愛のほどを…。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。まだまだ寒いノルウェーより、マイユニでした。

 

 

 

*1:PREP Samlivskurs - Modum Bad

*2:ノルウェーバージョンではプログラムの内容そのものよりも、カップルのコンテクスト・背景について、オリジナルバージョンから改正したとのこと。例えば、ノルウェーでは女性が働いている家庭が圧倒的に多いことや、連れ子が普通な背景でしょうか。

冬のリフォーム再開・オミクロン蔓延と規制緩和 - 2022年・第5週

みなさまこんばんは。前回ブログを大晦日にアップしてから、かなりサボっておりました。今年は3日の月曜日から仕事はじめで、かなり目まぐるしく毎日が過ぎていった気がします。そんなマイペースのブロガーですが、今年もゆるりとお付き合いいただければ幸いです。

さて、そんなわけで今年に入ってからこの1か月を振り返ってみたいと思っています。とくにホットな話題といえば、毎週末ののんびりに飽きてきたため、また去年の続きのリフォームを始めたことでしょうか。あとは、ノルウェーコロナ事情にも 触れてみたいと思います。

 

プチ・リフォームからリフォーム心に火が付いた?

日本で所ジョージさん司会の「ビフォア・アフター」という番組がありますが、それをYouTubeで発見したのが去年(番組自体も実は知りませんでした…)。こういった建築系の番組って、言葉が全部わからなくてもうちの主人と一緒に楽しめるし、日本の大工さんのお仕事も興味深く見ているようです。毎日のようにこの番組を見ていますので、おのずとうちの中の片付いていない場所や不便な場所が気になってきた…ということで。実は玄関部分の靴収納が、かなり長い間気になっていたのです。ですが、新しい収納家具が必要だったりして、なかなか始められませんでした。

ところが、良いチャンスが訪れました。ノルウェーIKEAで「IKEA Family」メンバー*1のクーポン券キャンペーンが1月中旬にあったのです。2000クローネのお買い物につき、200クローネのクーポン券がもらえるというのです。(2000クローネは大体2万5千円くらいでしょうか。)以前は背の高いクローゼット家具を見ていたのですが、ちょっと壁のようになってものすごく狭くなりそうだったので、新しく出てきたシリーズ家具の「Havsta」を購入してみました。(そして、クーポンもさっそく新しい植木バチに消えていきました…)

ちなみに、こちらの家の玄関ホールには日本の玄関の様な段差はなく、靴を脱ぐ習慣はありますが、うち同様、みなさんドアの内側にマットなどを敷いていて、だいたいマット付近で靴を脱ぐ感じになっています。

壁は白ですが、前の家の持ち主さんが地中海ブルーを下ににぬっていたらしく、ペンキのはみだしが随所にあったこともあり、階段と同じ色のペンキ(ベージュ、グリーン系)を壁二面に塗ってみました。

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ビフォア&アフター

棚の上のレイアウトは夫が好きでいろいろ持っている「マリン系」。しばらく様子をみて、配置を決めていこうと思っています。

そんなこんなで、またペンキを塗り出したら、去年の続きのTVの部屋の天井のペンキ塗りもぼちぼち再開してみようと、モティベーションがわいてきました。去年のリフォームについては、こちらで…。

humbleness.hatenablog.com

そうです。TVとソファを置いているリビングの天井も、お風呂場と同じ木材パネルが張られていますが、はやり木目処理剤が塗られていない様子。インテリアは好き好きなので、もちろん節々が出ていても悪くはないのです。が、うちの夫はその辺が妙に神経質というか… 節々が見えないきれいな天井にしたいようです。

ただ、こういった木材パネルはローラーではなく刷毛で塗るのが普通ですので、ローラーに比べると、大変です。うでや首がすぐに痛くなってきます。そして、うちは夫にむち打ちの後遺症があるので、首に負担のかかる仕事は私が頑張らねばなりません。

 

2月1日からのコロナ政策の大緩和

さて、ここで話は変わりノルウェーのコロナ事情について少し。最近日本の番組でもデンマーク規制緩和について見ることがあったので、おそらくみなさまの中でもご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。他のこともそうなのですが、政治政策でもスウェーデンデンマークの流れを見て舵を切ることも多いのでは…と感じます。(足並みをそろえる…というか。でも、スウェーデンの初期のコロナ政策はノルウェーでは取り入れませんでしたね。大正解だったと思います…)

ノルウェーでも連日2万人を超える方が感染しています。全人口が大体北海道くらいなので、すごい数です。人口10万人に対する数でも日本をはるかに上回っています。が、なぜか入院者数や重症者数は横ばい状態で、爆発的には増えていません。ブースター接種も、最近では20代前半の私のクライアントさんあたりの年齢まで達していますから、かなり進んでいるものとみています。でも、今は本当に周りでも感染する方が続出なので、いつ自分の番になってもおかしくない感じです。

そんな中、2月1日の政府記者会見では、1メーターのソーシャルディスタンス、(ソーシャルディスタンスが取れない場所での)マスク着用、罹患した際の自己隔離の三点を除き、対策緩和となりました。これも、デンマークなどの動きを見て、似ている部分が多いからかもしれません。(ただ、昨日夫が言っていたのは、デンマークから早急な対策緩和はやめた方がいい旨助言があったとか…。)

テレワーク要請もなくなりました。これについては、各企業や事業所により賛否両論があるようで、職場の判断に任せ テレワークが感染防止につながる場合は継続してもよいとのこと。うちの職場は、というと「全面出勤体制」が去年の暮ころから続いています。つまり、テレワークなしです。以前はどちらかというとオフィスにも50パーセント以上は来ないようにお達しがあったのですが。所長いわく、「クライアントの仕事をしている人はテレワーク免除になっているから」とのことでした。ただ憶測ですが、これは建前の理由で、本当は何かしらの問題が発生していてこうなったのかな、と考えています。つまり、うちのようなもともと自分でその日の予定を自分で立てるような職種はどこでどんな仕事をしているかはカレンダーで自己報告しているのみで、その日こなした仕事は目で見ることはできないのです。もちろん、皆が就労時間は働いているという信頼があって雇われているわけですが…。実際、所長が「本当にみんな全然オフィスに来ないのよね」と、ぼやいていたのも思い出します。やっぱり全く顔を見せない職員のこと、気になるものわかる気がします。私などは一度オフィスのあるオスロに出たら、ここを拠点として動きたいので テレワークがあった時も、かなりオフィスに来ていた度合いは高かったのですが。ただ、全面的にテレワークがなくなったと言っても、実際のところ木曜・金曜はかなりガラガラになっています。不思議です…。(ま、他の人のことはどうでも良いのですけどね。)

ノルウェー規制緩和については、何とも言えません。まだピークアウトが来ていないのもあり、はやり時期尚早ではないかと思いますが、自分でできる限りの感染対策をして乗り切るしかありませんよね。先週も風邪症状(特に喉。オミクロンと同じですー)が出てきたので、職場の抗原検査を数回分もらって出勤前に自分で検査しました。とりあえず陰性で、症状も良くなったので風邪だったのでしょうね。そんなこんなで、まだまだコロナとは付き合わなければなりませんね。ちなみに、こちらもPCR検査が追い付いてないので、ブースター接種済みの人は抗原検査で陽性になったら、PCRを受けないで市のホームページにある 感染者登録に自己申告するようお達しがありました。ブースター接種者がバロメータになっている理由はわかりません。

 

と、いうわけで、ここ数週間の日常を振り返ってみました。みなさまも引き続きご自愛下さいね。最後までお読みくださり、ありがとうございました!

*1:無料で入会できる独自の会員システムで、さまざまな割引などがあります。

ノルウェー オスロ近郊のクリスマス・ロムユールの過ごし方

みなさまお変わりありませんか? 今年もあと数時間となりましたね。今日本におられる方々は大晦日の番組などをご覧になりながらもうすぐカウントダウン…というところかもしれませんね。私はというと、こうして今年最後のブログを書いていますが、日本に行くのを断念してこちらに居ましたので クリスマスとロムユール*1をどうやって過ごしたかを少しご紹介したいと思います。

 

24日の午後5時に鐘と共に始まるクリスマス…

さて、ちょっと面白いのですが、24日は祝日ではありません。私のように市の職員だった場合は通常昼12時までの4時間就労となります。24日に休みを取りたい人が多い中、わりと毎年この日は働いていますが、今年も同じ。ただ、バスの便が極端に少なくなるため、ちょっと贅沢ですが自家用車で出勤しました。今年も幸い何も事件は起こらず… 同僚とコーヒーを飲んだり、ゆったりの就労日でした。(ちなみに、この週に新規のクライアントさんの受け持ちになったため、私自身は結構仕事が溜まっていたのですが…)たいがいこの日に出勤してくる同僚は独り身だったり、クリスマスをお祝いしないモスリムの方だったりするのです。今年も4人の男性職員と私のみ。

さて、うちに帰って 3時ころに義父が眠る墓地へと向かいます。クリスマスイブの典型的な伝統として、普段は教会に行かない方々も礼拝に参加したり、よく教会に隣接されているご家族やご先祖のお墓にろうそくを灯したり。礼拝も数回行われます。今年はコロナで人数制限もあり、私たちは礼拝をパスして、直接墓地に向かいました。やはり、かなりたくさんのろうそくが灯っていました。ちなみに、この時使うろうそくはガラスの器に入ってふたのある墓地用のものです。

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Nesodden教会の墓地。日が沈む間際にたくさんのろうそくが灯ります。

このあと、夕方5時に教会が一斉にクリスマスの鐘を鳴らし、クリスマスが始まるわけです。お茶の間ではTVでSølvgutter(セルグッテル)という男子コーラスがクリスマスの到来を歌います。

それから、クリスマスディナーをいただきます。うちは特に来客もなく、夫と私だけだったので、いつものように6時半ころ夕食をいただきました。実はクリスマスによく食されている豚のリブステーキ(リッベ)はちょっと前にいただいていたので、今回はもう少し脂肪の少な目なもも肉のステーキに切り替えました。普通のお宅だとこのあとデザートを食べてから 小さい子がいるうちはお父さんなどがサンタの恰好に着替えてプレゼントを持ってきたりするのですが…。それ以外のお宅はちょっとしてからコーヒータイムとなり、その時にツリーの下にあらかじめ集めておいたプレゼントをあける習わしとなっています。日本のようにデコレーションケーキは食べる習慣はなく、コーヒーにはジンジャークッキーなどのクリスマスクッキー系が主でしょうか。プレゼントもアメリカや日本とは違い、イブに開けちゃうんですよね。

さて、25日は第一クリスマスといって、祝日ですが、今年は土曜日でした。*2 この日はたいてい朝もゆっくり起きて、一日のんびり。私たちも散歩に行ったくらいで実際何もしない一日でした。26日、第二クリスマス、も祝日です。この日はよく兄弟や親せきを訪ねる日に使われることが多いです。今年は義母も遠くにいる弟家族のところだったため、私たちは特に何もせず…。

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うちの居間。ツリーはここ数年流行りのプラスチックの偽物です。(といってもまだ本物の木を使う方も多い。)本物のツリーはよくショッピングセンターの外などで販売されています。
ロムユール

お店などが開店しだす27日は、ショッピングセンターも人でにぎわいます。プレゼントはByttelappという、「交換券」を付けて送る人が多く、プレゼントを交換するためにお店に来る人が多いことから「プレゼント交換の日」とも呼ばれています。私も実は一ついただいたプレゼントをお店に持って行って、商品券の様に使える引換券に替えていただきました。プレゼント交換も店により違いますが、期限があります。引換券だと1年間有効ですので、何と交換していいかわからない時は便利です。

夫の誕生日が29日ということで、前日の28日は近くに住む弟の一家族だけコーヒータイムに招待しました。作ったのはYouTube先生に学んだいちごのホールケーキとティラミス、それにつまんで食べれる巻きずしです。(写真は撮るのを忘れていたのでありません…)寿司は2000年代くらいから徐々に浸透してきていて、今ではみんながおいしいと思う食べ物になっています。特にこちらではSalmaサーモンというブランドのお刺身用サーモンがかなり広まっているので、昔はお寿司を出しても手を付けない方がいましたが、今は出してもセーフな食事の一つになっています。

さて、この冬は電気代の高騰がものすごいのですが、うちでも暖炉を焚くことが増えました。(ちなみに電気のパネルヒーターもあります)以前ブログでご紹介した薪ストックも底をついてきました。そんなこんなで、夫の誕生日にはもう一人の農場を持っている弟のところへ薪を分けてもらいに行ってきました。往復3時間の距離です。薪のお礼も兼ね、ちらしずしを作って持っていきました。数年前に持って行ったところ、かなりヒットしたからです。

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ちらしずし5人前。おいしいと喜んでいただけましたー。

昨日、30日はちょっとした作業の日。いただいた薪を小屋に収納します。初めは一日で終わらないかと思ったものの、なんとか1時間半で終了。私がこの荷台からバットで数本ずつ運んで、夫が並べる…というもの。この後、アジアンショップをめざしてオスロまで一人で買い物に行きました。オスロの中心部には日本人の方が経営するショップ一軒を含め、3軒ほどのショップがあります。日本に行けなかった分、なんとかマグロのお刺身が食べたくて、アジアのお店2軒に最初行きましたが、お刺身用冷凍マグロと言っても、何のことかわからない…と言われ。日本人経営のお店へ。こちらは品数に限りがあるものの、日本と同じものが買える貴重なお店です。ただ、庶民の私にとってはあまり頻繁に足がはこべないお値段のお店ですが…。店主の方が一個だけあったお刺身用マグロを奥の方から出してくださいました。(感謝・感謝)アジアの店ではお蕎麦も購入。割と知られたメーカーのようで…。お正月だからと、一番高いのを買ってみたのです。昨日はその後、ぜんざいを作ろうと思って初めて小豆を煮てみました。こちらは、思ったよりもずっと簡単でしたが、尋常ではない砂糖の量にびっくり。(減糖してとろみをコーンスターチで付けるレシピに変更…)

 

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頂いた薪(左)とオスロでゲットした日本食(右)えびだー、と思って買ったのは実は天ぷらではなく、エビフライでしたー。

 

ノルウェーのコロナ状況はピーク時よりも少し下火になってきたものの、まだまだ予断は許されない状況です。ノルウェーは元旦のみが祝日ですので、週末明けの月曜日にはまた通常出勤となります。まあ、今週はこんなにのんびりさせてもらったので、久しぶりに仕事で忙しくなるのもいいかも知れません。

今年もコロナに左右された一年となりましたが、オミクロンの次に出てくる株で、コロナがインフルのようになってくるという専門家の見解を信じて…そうすると、1年後にはまた国外に自由に出かけられる状況も夢ではないですよね。人は希望がないと生きていけないものだと言われています。暗い状況で希望を保つのはとっても難しいのかもしれませんが、何か一つでも小さな明るい材料があればそれを希望へとつなげることも可能だと思います。

今年もこのへなちょこブログにお付き合いくださり、ありがとうございました。来年がみなさまにとってもっと素敵な一年となりますように…お祈り申し上げます。

では、どちら様も良い新年をお迎えください!

 

*1:ロムユールとは、クリスマスと新年の間の期間のことです。が、実際はクリスマスは1月初旬まで続いていて、クリスマスの飾りを取り払うのもそのころです。

*2:ノルウェーは祝日は土日と重なっても振り替え休日は設けない仕組みです…。それで、みんなが「今年は損だなあ」と口々に言っておりました。

オミクロン蔓延・ブースター接種・里帰りの延期 ー 2021年 第50週

みなさまこんばんは。お変わりありませんか? 

今回は2021年、第50週*1現在の生活アップデートの内容です。そして、コロナが始まって以来 最悪となっているノルウェーのコロナ状況もお伝えしたいと思います。

 

新規感染者が9万人から30万人に?

以前のブログでもお伝えしましたが*2ノルウェーは9月の末より、「アフターコロナ」のような雰囲気でした。そして、オミクロンが世界中に知られるようになってからおよそ2週間ちょっと。(なんだか、もっと長い時間が経っているような気がしていますが…)こちらでもオスロを中心に忘年会でのオミクロン集団感染などがあり、前からひっ迫気味だった医療機関も更にひっ迫する状態が続いています。今の政府は労働党を中心にメンツががらりと変わったのですが、大臣の経験がない若手政治家を多く起用しているためか、私の感覚ではコロナ対策も後手になっている気がしました。地方自治体にお任せ状態が続きました。

さて、地方自治体が国を挙げての新しいコロナ政策を要望すること数週間… ここ1、2週間前から政府もやっと重い腰を上げ 国の対策を次々と発表しているのですが、最終的な記者会見が、この月曜日 13日にありました。昨日、12月15日から向こう4週間適用になる対策です。アルコール類の提供の全面禁止や、冠婚葬祭やイベントの人数制限、テレワークの要請や大学などのリモート授業の規定も導入されます。もちろん、公共の場でのマスク着用の義務化も。とはいえ、他のヨーロッパの国々よりもともと「あまあま」なノルウェーなので、マスクをしていないからと言って罰則は特にありません。

9月末の収束宣言の際は、ノルウェー人の夫も私も「ゆるみすぎ」と感じていて、必ず新しい波もやってくるとは思っていたのですが…。この最後の記者会見では なんとワースト・ケース・シナリオとして、このままオミクロンが広がったら 一日の新規感染者が9万人から30万人になると報じられたのです*3オスロの人口が大体60万人くらいですから… 二日でオスロ全人口が感染してしまう計算になります!これってちょっと…すごすぎやしませんか?

 

おとといのブースター接種

職域接種として、だいぶ前から3回目が受けられることになっていましたが、今回はオスロのとある区に出向いての接種。職場からこの区へ私の情報が通知されていたわけです。SMSで予約リンクの通知が来て、おとといの午後となりました。会場にいざ行ってみると何のことはない、「ドロップイン」(予約は何だったかよくわかりません…でも、よくありがちかもです)。ファイザーかモデルナかを選んで、受付番号をもらって、待つこと約15分。会場には100人くらいの方々はいたでしょうか。政府のブースター政策は45歳以上の人に1月中旬までに3回目を完了するというもの。自治体により、速さは異なるのですが、実は私が住む市でも予約受付が始まっていたので 職域との大差はあまりなかったかもしれません。

以前からブースターは容量が半分と聞いていたのですが、接種担当者に聞いてみるとファイザーを選んだ私は前と同量だそうです。モデルナはもともと強めのワクチンなので、ブースターは半量で良いとのことでしたが…。

気になる副反応、ですが。まず、お決まりの接種箇所の痛み。これは3日目の今日はほとんど感じなくなっています。2日目、昨日はだるかったり 頭が働かなかったり…でしたが、幸い熱も出ませんでした。昨日の夜は頭痛が割とあったので 痛み止めを飲んで就寝したくらいで、他は薬もなし。でも、1か月前に受けたインフルのワクチンに比べると、やっぱり痛みも強いですね。とりあえず、今回の接種も無事に済んで安心しています。これで、少しはオミクロンから守られるかもしれません。

 

年末の里帰り延期の件

さて、前回ブログでは思いっきり(?)愚痴を綴ってしまったのですが、ノルウェーの悪くなる状況もあり、夫のみならず 私も里帰りを見送りました。今回もFinnair.comで購入した航空券でしたが、ヘルシンキー羽田間はJALのフライト。実はFinnairの公式HPで購入した航空券には(購入時のタイミングにより期限も異なりますが)ある一定期間内は無料で変更できるというサービスがありました。ただ、自分の情報を入力すると「変更不可能」というメッセージが表示されてしまい、本当に変更できるのかハラハラ・ドキドキ。夫に電話で問い合わせてもらったのですが、なんとノルウェーカスタマーサービスの番号は「現在使用されておりません」。スウェーデンも同じく不使用でした。残すは、フィンランドカスタマーサービス(電話による航空券の変更はこちらで、とHPに注意書きあり)。こちらは、1分で1、7ユーロもかかってしまう有料番号です。夫によると電話が混んでいて全く繋がらない…とのこと。それじゃ、私が日本のカスタマーサービスにダメ元でトライしてみる、ということになりました。

こちらでは、結論から言うと、すぐに電話もつながり楽々でした。HPで出てきた「変更不可能」も、実はシステムの不具合ですべてのチケットがウェブ変更できなくなっている、とのこと。フィンランドに電話しなくても、日本のカスタマーサービスでも変更可能…でした。そして、ご親切に教えていただいたのが、乗るはずだったJAL便の欠航。欠航の場合は払い戻しの対象になるとのことで、私たちは変更せずに払い戻しをお願いしました。なぜ私たちに欠航の旨が伝わらなかったというと、やはりJAL運航・JALフライトだったから…だそうですが。(この辺のFinnair.comとの連携が上手くいっていないとか)フィンエアーの現地のカスタマーサービスではなく、断然日本へ電話を入れることをお勧めです。日本語で話せるのもよし。サービスも良し。(以前にも使ったテクです…。)私がいつも使っているスカイプからの電話も音質等も問題なかったし、安かったです。

さて、夫の短期訪問ビザ無効化の後、1週間ほどは悶々としていた私たちですが、乗る予定のフライトも欠航と聞いて、なんだか納得した…と言いますか。そうか、今はやっぱり時が悪かったのか、と府に落ちました。

 

そんなこんなで、クリスマス・新年をこちらで迎えることになり、頭も切り替え中です。コロナもあるので、お客さんを呼んだりは控えようと思っていますが…。来週末はクリスマスが来てしまうので、何を食べようか…何をしようか…などなど。買い出しもこれから…と、いうところの第50週です。

みなさまはどんな予定を立てられていますか?どなたさまも 心静かに過ごせる残りの師走となりますように。今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

*1:こちらでは週番号が割と頻繁に使われています。

*2:

9月25日・土曜日・午後4時 ー ノルウェーのコロナ収束宣言 - ハンブルネスのひとりごと

*3:今週は一日当たり5千人以上が続いており、昨日も6千人を超え、記録を更新してしまいました。

日本人なのが嫌になる今日この頃  - 水際対策による短期滞在ビザの無効化

みなさまこんばんは。お変わりありませんか?オミクロン株が11月末からあっという間に世界に広がりました。みなさまのお住まいの場所によって さまざまな感染対策が始まっていると思います。

さて、今日はというと本当に本当に個人的なひとりごとをシェアさせていただくブログ内容です。日本の水際対策には様々な意見があると思います。私も 自分の意見が正しいというつもりはないのです。ただ、自分の置かれている立場で 最近の水際対策については嘆いています。それは、夫と準備していた一時帰国にまつわるもの…。

 

無念!夫と3か月前から準備していた年末年始の里帰りが…

www.youtube.com

 

今、外国人の入国を禁止している国が多々あります。日本もそのひとつ。でも、日本人と結婚している配偶者、その子どもには「特例措置」という 査証を申請することで一緒に入国がかなう規定がありました。

さて、私の夫はノルウェー人ですが、彼はうちの母のことを自分の母親のようにいつも気にかけてくれています。これまでも一時帰国にはいつも同行していて、実家のちょっとした修理や水回り(浴槽のうら)などのお掃除もやってくれておりました。エアコンのフィルターも彼がいつもきれいにしてくれ、一緒に近くの温泉に行ったりと、母にはいつも優しく接してくれているので、母も夫が大好きなのでした。自分で言うのもアレですが、ノルウェー語でよく言う「Svigermors drøm」(義理のお母さんの夢)というのは彼のことを言うものだと思ったものです。

そんな夫のたっての希望で、この8月に私だけ一時帰国した際、査証の申請に必要な戸籍抄本(3か月以内のもの)を取ってきて日本に年末から一時帰国すべく査証もほどなくゲットできたのです。持病があって体の弱い母のお手伝いがしたい、という理由からです。ちなみに査証申請に必要な書類は婚姻関係を証明する戸籍抄本だけではなく、母から書いてもらった招へい理由書も要ります。それから、今回は母の主治医の診断書(3,000円ほどかかった)も添えました。

日本では留学生やビジネス目的の外国人の入国規制の緩和がオミクロンの直前まで開始されていました。11月30日にそれが変更になり、一斉に入国禁止。それでも、「配偶者等」はその中に入っていないものと確認し、ほっと胸をなでおろしていた矢先のこの情報でした。

ユーチューバー、ダイスケさんが取り上げていたのが日経新聞の記事と、SNS上で大使館から連絡をもらった方々のコメント。私も他の記事も検索してみましたが、見当たらず、唯一、TBSのニュースでNY在住のご家族がご主人だけ日本に行けなくなってしまった…というニュースを見たのみでした。外務省のHPも観ましたが、一見すると、配偶者として取得した短期ビザも大丈夫なような印象を受けます…。

この後、夫も在ノルウェー日本大使館に問い合わせ 丁寧なメールをいただきました。やはり、夫の短期滞在ビザも無効となっており、1月1日以降も一時無効化の措置が継続される可能性もあるとのこと。数日ずらしたとしても、入国できる可能性は全くわかりません。唯一、もしどうしても12月中に入国しなければならない特段の理由があるなら、再申請できるとのこと…ですが、申請書を扱うのは日本の外務省で、実際にかかる時間はわかりかねるそうです。そして、承認される特段の理由というのも、日本にいる家族の危篤状態のようなものであるらしいのです。

この時点で、私はかなりショックを受けてしまいました。正式に結婚している関係でも、国籍のせいで一緒に母に会いに行けない事実…。でも、私たちはまだマシなのかもしれません。お子さんの居るご家族のことを思ったら、「お父さんだけ」とか「お母さんだけ」お留守番になってしまうことを考えたら、子どもさんたちがかわいそうでなりません…。

今現在は、あと数日様子をみてみることで落ち着いているのですが、おそらく今回の日本行きは延期となるものと思われます。

 

感覚がズレていると言われても仕方ないのですが…

この数日、落ち込んでいても仕方ない…と、思う一方、「ああ、自分の国がもっと人道的なことを基準に政策を取っていたらなあ」という気持ちです。日本を離れて26年半…。3年ちょっとの社会人経験で疲れてしまい、最初は休んで考える時間が欲しくてノルウェーに来ました。ノルウェーという国や社会性は私という一個人を丸ごと受け入れてくれているような体験をしました。それで、10年・20年と滞在も長くなり、今に至っているわけです。普段何もなく平和な時には感じない日本との感覚のズレ。これも致し方ないのかもしれません。

以前のブログでもご紹介したように、いくら居心地は良いといっても外国人としてのハンデは一生付きまといます。そんな意味でも、自分に国にいるときに感じる「ガイジンではない」感覚は自分にとっては貴重なものです。ただ、今回のように家族でありながら、国籍によって入国を禁止される現実もあり、日本と自分が仲直りするのにも少しばかり時間がかかるかもしれません…。

 

今日本ではオミクロン株に対する警戒をしつつも、コロナの感染状況は諸外国と違い、かなり良い状態が続いています。この状態が長く続きますように…。

私の独り言をお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

オスロの日常的人種差別 職場の学術ミーティングから

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか?

これまで暖冬なノルウェー首都圏です。まだちらりとしか雪も見ておらず、根雪もないので11月の末となるとますます暗さが増します。雪があると、街灯に反射してほわんと周囲も明るくなるのですがねー。

先日、私の職場の方で久しぶりに「学術ミーティング」(なんだか訳すとすごい内容に聞こえますが… 事業内容に関係のあるテーマをブラッシュアップするために行われる勉強会です。)がありました。人種差別問題のために働いているNPOの方をゲストに迎え、テーマは「日常的人種差別」(Hverdags rasisme)でした。この会議ではゲストより、私たち参加者から様々な発言があるという、なかなかヒートした場となりました。人種差別は日本ではあまり聞かない課題ではありますが、今日はこのミーティングからちょっとシェアさせていただこうと思います。

 

ノルウェーと移民の歴史*1

ノルウェーは他のヨーロッパ諸国に比べると 移民の歴史はまだまだ浅い方です。と、いうのもこの国自体が北海油田ころまで豊かではなく、アメリカなどに出稼ぎに行く人々も多くいました。北海油田が基盤に乗ったころ、70年代後半になると逆に労働者不足となり、最初に移民として来たのがパキスタンの方々です。そのころはこちらに移住するのは簡単だったといいます。移民の増加に伴い、今のように滞在許可や労働許可の制度が整えられました。今は国連経由で来られる難民や亡命者を含め、様々な外国人が移住してきており、福祉国家の手厚い支援もあるためにノルウェーを移住先、亡命先に選ぶ人々も居ます。ノルウェーで一番多い移民は実はスウェーデン人なのですが、ヨーロッパからの移民や北米大陸からの移民に対する差別はあまりメディアで見聞きしません。差別問題はというと、やはり肌の色や文化が異なるアジア・アフリカの方々が対象です。

 

クライアントの子たちが受けている差別とは?

さて、学術ミーティングで人種差別を取り上げた背景には、クライアントの子たちのバックグラウンドがあります。大半がアジア・アフリカ系の移民・難民の二世であったり、東ヨーロッパからの出稼ぎで来る方々の子供たちであったり、また親のどちらかがマイノリティーであるため 自分も肌の色が違ったり。

私が受け持ったクライアントの子からも「自分は人種差別を受けている」と聞かされていたことがあります。ただ、それはほんの数人です。ところが今回のミーティングのゲストは毎日のように人種差別を受けている若い子たちから話を聞いているといいます。そのエピソードから会議は始まりました。なんでも、モスリムの子たちが頭につけている被り物(ヒジャブ)を引っ張られたり、この国で生まれ育った子たちが「自分の国に帰れ」と暴言を吐かれたり…など、自分はただその場に居合わせただけで、いきなりノルウェー人からこういった人種差別的攻撃を受けるというのです。もちろん、ノルウェー人一般が人種差別的なわけではないと思います。私自身もNAV(総合福祉事務所)勤務の時にクライアントから暴言を吐かれたことはありますが、生活に困窮している方だったり、また「外国人は自分よりも手厚い手当を受けている」といった間違った認識がある方だったりというのは容易に想像がつきました。つまり、その人自身が問題で苦しんでいるときや 間違った思い込みがある場合に他人を攻撃する言動に出ると思われます。(いじめのメカニズムと同じ感じですね。)

この、差別的な言動をする人自身に何かしら理由がある場合もそうですが、一方では差別されたと訴える側も何かしら理由がある場合もあるのでは…というのがディスカッションされました。つまり、その時の背景・コンテクストに注目してみるということです。

この夏、脅迫的な発言を私に向けた元クライアントの子は両親がアフリカ出身なのですが、彼女はバイト先でもカッとなって物を上司に投げつけたり、自身の言動にもかなり問題があることが多いのです。それで、本人は「人種差別されたからだ」と訴えていたと言います。彼女を解雇したとしたら、それは肌の色ではなく、彼女の問題行動にあったはずです。彼女も問題行動を辞めてみない限り、風当りはおそらく変わらないのではないでしょうか。

ここで場がヒートしたのは、はやり何が人種差別で何が違うかを見極めなければいけないことや、私たちがこの子たちにどう対応するかというディスカッションでした。肌の色に限らず、悪いことをしている人を注意したりするのは当然だし、それで「人種差別だ」と言われるのも間違っています。

理由もなく被害を受けた子たちの話を聞いてあげる、慰めてあげる事はもちろん、私たちの役目なのですが こういったひどい人々がいるこの世の中に対して後ろ向きな態度を取るのも極端です。「こんな世の中、大嫌い」と言って社会に背を向けてしまったら、どうやって自立した生活を送れるようになるのでしょうか。少なくとも、私たち支援する側は こんな世の中でも自分の夢や希望を見失わずに、目標を達成してほしいし、その方向に助言していくべきです。そういう子たちがよく反社会的勢力にリクルートされてしまうという問題もある中、このバランスが課題です。

 

私自身の体験

うちの職場は3分の1くらいが、ルーツがアジア・アフリカ系の2世であったり、自分の代で移住してきた人々の構成です。その他、白人ノルウェー人の同僚の中には、アフリカ系のパートナーとの間にお子さんがいたり、また国際結婚されていたりする人も居ます。こんなわけで、人種差別問題はかなり「自分自身に関わるイシュー」といった感じで、発言者も多く皆が熱心にディスカッションしたミーティングになったのかも知れません。

先の例のように、明らかに悪意があって、人を傷つける目的で吐かれる暴言なら人種差別とわかるのですが、善意があって言われた言葉も 取り方によっては「差別されている」と感じる人がいるもの事実です。例えば、「あなた、ノルウェー語が上手いわね」と言われる時。先のNPOの方は、なぜか「差別している例」でこの発言を取り上げました。私自身の体験でも、これは何百回となく聞いているフレーズです。でも、これは善意で発せられた言葉だといつもとらえています。同じフレーズでも言われた時の状況や言われた時の言い方などでも もちろんとらえ方は変わってきてしまうのですが…。ただ、このフレーズを発せられる時、そこにマジョリティー(多数民・ノルウェー人)とマイノリティー(少数民・外国人)の違いをはっきり区別させられるし、誰かが誰かを褒める行為というのも、結構「上から目線」の時が多いため、私はこのフレーズは好きではない…と発言しました。このフレーズは 良かれと思って言われていても、私からすると相手と自分の立ち位置の違いをはっきり見せられるという意味で、「インクルーシヴ」(私もあなたも同じところに立っている仲間だ、というような態度)なフレーズには感じ取れないということです。

ただ、過去には外見的にもっと違ったら、もっとまともな扱いを受けたかも…と、思う事もありました。それは、こちらの「アジア人女性」に対するイメージがあるかと思います。アジア人女性って、悪い扱いをされても我慢したり、おとなしいイメージがあるため、先の例ですが それにつけこんで 鼻であしらうような人もたまに遭遇します。それは、白人ノルウェー人に限らないかもしれません。

 

Rasisme kort (ラシスメ・コット - レイシズム・カード)

ディスカッションが最も白熱したのが、このRasisme kortという言葉についての賛否両論。カードは「切り札」という意味でよく使われる言葉ですが、このレイシズム・カードの意味は私たち非白人の外国人が相手の対応を「人種差別的だ」と訴えることで、何かをゲットするために使われる切り札という意味です。ミーティングではこの言葉を使用することに反対なグループと、賛成のグループに分かれました。反対派の理由は、この言葉自体がひとつの支配的フレーズ*2として白人ノルウェー人によって生み出された言葉からだ、というのです。この賛否両論についてはさておき、確かに私も不当と感じられた扱いに対して、「これって人種差別的扱いじゃないんですか?」と抗議したことが過去に数回あります。この結果どうなったかというと、相手がびっくりしていきなり態度が変わったことを覚えています。態度を改めてくれて、敬意を払ってくれたのは良かったかもしれませんが、「人種差別者」と呼ばれるほどショックなことはないかも知れない…と、今ではちょっと反省しながら思うのです。それに、不当に感じられた事柄だって、たいしたことではなかったかもしれません。(何だったかもよく覚えていない…)

さっきの元クライアントさんのように、このカードを意図的に使うことで自分の言動を正当化していたら、結局バイト先と上手くいかなかったりを繰り返してしまって、前に進めないのかもしれません。そういう意味では、「このカードを使っちゃだめだよ」と助言してあげることも必要なのかもしれません。

 

まとめ

今日は職場のミーティングからオスロで若い子たちが受けていると感じている毎日の人種差別について綴ってみました。ディスカッションしていた同僚たちの多くが、同じように移民・難民の2世であったり、どちらかの親がアジア・アフリカ系であったり。でも、さまざまな経験をしているようでした。

同僚たちがみんなで納得した結論は、このクライアントの子たちに寄り添って支援することの大切さ。そして、こういった現状の中でもいかにこの子たちに建設的に助言や励ましをすることができるか…などなどでした。ただ、日本で生まれ育って、「祖国」というものがある私にとってはノルウェーで受ける差別的な扱いにも 強く立ち向かえるかもしれません。だって、自分の言葉や文化が他にあることが救いになっていますから。一方、生まれて育って、自分の国だと思っているノルウェーで外人扱いされたり、差別されたりの方がよっぽど応えるのではないかと思ってしまいます。

ノルウェーではアメリカでよく言われるようにただの肌の色の違いということよりも、文化的・習慣的な違いが注目されているような気がします。みなさんはどう感じられましたか?今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました!

*1:このブログではノルウェーに移住して来る方々を総称して移民と呼んでいます。その中で、自国から戦争などで逃れてきた方々を難民と一応分けています。

*2:hersketeknikk(ハシュケ・テクニック: ある人やグループの尊厳を害し、支配するという目的で意識的・無意識に使用されるメソッドのこと。英語にはこれにあたる言葉はないようですが、興味のある方はWikiの英語リンクをはりつけます。

Master suppression techniques - Wikipedia