みなさまこんばんは。8月ももうすぐ終わろうとしています。こちら、オスロでは今週から小・中・高と新年度が始まりました。大学も先週から始まり、職場では実習生を一人迎えました。今回は私がスーパーバイザー役なのですが、お世話をするのもなかなか大変だなあ、と感じています。いろいろ体験して学んでいただけたら良いのですが。
さて、今回も「予防と関係強化プログラム、PREP」の続きです。2回続けて「4つの危険信号」について綴ってきました。今日は第3の危険信号、「否定的解釈」についてPREPの教材からご紹介していきたいと思います。ちなみに前回ブログはこちら…
「否定的な解釈」がくせに?
相手の言動を、相手が全く意図しないのに必要以上に悪く取ってしまって 後から全然そうではなかった!と、いう経験は誰しもかならずあるのでは…と思います。相手に自分の解釈を伝えて誤解だったというのが分かることで、通常は丸く収まるのではないでしょうか。でも、人間関係の中で「自分はいつも悪者になる…」とか、「あんたはいつも私の言う事なすこと悪く取るから…」などという「いつも」発言が出てきたら、これはほっておかない方が良いかもしれません。
PREPテキストで挙げられている例は、夕食までに帰ってこないパートナーの話。「私の事なんてどうでもいいから、遅いんだ」という解釈が「道が混んでいて遅くなっちゃった」というパートナーの言葉に先行してしまい、相手が何を言っても聞けなくなっている状態。この場合は、「自分の事を大切にしてくれていたら、道の込み具合を計算に入れて、ちゃんと間に合うように帰ってくるはず」という論理が出来上がっているので、実際パートナーの言い分もただの言い訳にしか聞こえなくなっていると思われます。
うまく行くときはただの偶然か?
ギクシャクが長引いている関係では、たまにうまく行っている時も、相手が良い関係のために頑張っているとは思えず、「ただの偶然」と解釈してしまうことが多々あるといいます。こうなってしまうと、この関係とか相手のいい面も、否定的な解釈に埋もれてしまい、なかなか評価するのも難しいかもしれません。負のスパイラルから抜け出すことも簡単ではないかもしれません。
否定的解釈の傾向… 問題の根底?
そうはいっても、実際の生活では自分も相手も嫌な言動をしてしまうこと、ありますよね。人間ですから、仕方ないことです。何が相手の本当の意図するところで、それをどう自分が解釈するかって、話し合ってみないことには わからない事が多いかもしれません。わからないままにして、自分の(ネガティブな)解釈が合っていると思い込んでいることも、もしかすると 長引くギクシャクとか険悪な仲の底に隠れているのかもしれません。
では、どうしたらいいか…PREPの提案
まず提案されていることは、(否定的な解釈が根底にあるような)険悪な関係においては、強い感情がからんでいるので、一筋縄ではいかないことを理解しましょう…というもの。先の例「この人は私のことなんてどうでもいいんだ」という解釈が常にあるとしたら、本人はおそらく、ものすごく傷ついていたり、この関係に落胆していたり、悲しかったり…といった強いネガティヴな感情を持っていると想像できます。そんな感情が働いていると、新しい事例もやはり否定的に解釈してしまう傾向にあるようです。
二つ目の提案は、自分自身のことや、過去の経験に否定的解釈が起因していないかどうか、振り返ってみましょう…というもの。もしかすると、セルフイメージが低かったり、過去に人から裏切られたといったことがポジティヴに解釈しようとするのを邪魔しているかもしれません。
自分自身への問いかけも勧められています。
- 自分は相手の意図についてよく批判的になっていないか?
- 相手を違うふうに理解・解釈できるだろうか?
- 自分の中の不安感や不信感が相手をネガティブに解釈することに繋がっていないだろうか?
次に、難しいかもしれないけれど、自分の否定的解釈を裏付けているものと「真逆」の事を意識して見つけてみましょう…というもの。例えば、「私のことなんてどうでもいい」「あの人は他人のことばかり大切に考えている」…という解釈だったら、本当に他人の事ばかり優先しているのか、自分はいつも二の次なのか…を覆すような「サイン」を探してみましょう。意識してみると結構見つかるものかもしれません。
今日のまとめ
3つ目の危険信号、「否定的解釈」について見てきました。どんな人間関係(夫婦に限らず友人関係でも)相手の言動の意図を疑ったり、すごくネガティヴに取ったり…というのはありますよね。ただ、これが日常的に繰り返されることによって、関係自体も悪くなってしまう、というのがポイントでした。
これはどんな関係にも言えるのかもしれませんが、相手のこと十分わかってる…と思っていても、実はそうではなかった、という事もたびたびあります。カップルの様な近い・親しい仲ほどそう思いがちなのかも知れないですね。PREPではやはりオープンなコミュニケーションを提案しています。相手の意図をこちらで決めつける前に、好奇心を持ってよく話を聞いてみましょう。
さて、今日のテーマ、いかがだったでしょうか。私たち夫婦も、ケンカをするときは相手の意図を誤解することが多いのかなー、と感じました。次は4は危険信号の最後、「相手を避ける行為」(Tilbaketrekning)がテーマです。これもカップルなどの関係ではかなり一般的に見受けられる現象で、特に男性が多いような…。次回のテーマが終わったら、もう少し建設的なPREPの内容をご紹介していきたいと考えています。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!