ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

PREP(プレップ)試してみませんか? (その2・4つの危険信号・エスカレーションとは?)

こんばんは。大変ご無沙汰しております。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

今日は(ノルウェー時間で)5月16日。明日は年一回、国中がお祝いムードになる憲法記念日の「セッテネ・マイ」(17.maiと書きます。5月17日の意味)です。民族衣装などを着る人も多く、今ころはリネンのブラウスにアイロンをかけたり、とにかく明日の準備に忙しい日でもあります。こちらのコロナは、というと、5月に入ったころよりPCR検査場もすべて閉鎖してしまい、事実上 新規感染者の登録もなくなったと言っても良いかもしれません。

前回ブログではロシア侵攻後のヨーロッパから日本への迂回路線の件も含め、私の一時帰国のトピックでした。今日は2月にご紹介したカップルの「予防と関係強化プログラム、PREP」の続きで、4つの危険信号を順にみていきたいと思っています。初回のリンクはこちら:

humbleness.hatenablog.com

 

カップルの関係に対立はつきもの

人間関係には親子でも、夫婦でも対立やケンカはつきものだと言ってよいと思います。ケンカの中でも「建設的」なものもあり、言い合ってしまったけど、逆にお互いの本音がわかったり、フラストレーションを吐き出せたりと 絆をより一層強くする働きのものもあります。

ただ、そうではなく、もしもケンカや対立が関係を悪くし お互いに一緒にいる意味を感じなくなってしまったら?PREPではこの類のケンカ(コミュニケーション)は「パターン化」しているといい、これが無意識のうちに繰り返されている…と提唱しています。そして、このパターンに気が付いて言動を改善していくことで、関係が壊れてしまうのを回避していこうというのが狙いです。このパターン化した言動を「4つの危険信号」と呼んでいます。これらの危険信号は実はとても身近なもので、誰でも経験があったり身に覚えがあるのではないでしょうか。今日はその中から最も一般的な危険信号、「エスカレーション」をご紹介します。

 

パターンその1 エスカレーション (opptrapping)

何かの理由…、例えば約束に相手が遅刻したとか、やるのを忘れた、とかでケンカとなり、どちらも自分の正当性を主張し、相手に勝とうとして 言い争いの収拾がつかなくなっていくコミュニケーションを、エスカレーションと呼んでいます。たいがい、この時お互いに怒りも強くなっていき、冷静に考えられなくなってしまいます。相手の意見を聞くというよりは、次になんて言ってやろうかと考えています。強い感情が働くので、相手にどなったり、時には物にあたってしまったり ひどいことを相手に言ってしまったりするものです。結果はどうなるかというと、お互いに傷つけあって、嫌な後味がのこり、誰も得する人はいません。

みなさんは、どのようにヒートアップしてしまったケンカを終わらせていますか? PREPでは以下のことを提案しています。

 

早い段階で中断する

ああ、また言い争いが始まって来た…と、気が付いたら 一旦「わかった、わかった。怒ってるのはよくわかった。でも、いったんやめて後でまた話そう」と、一方が早い段階で引くことです。一人がちょっと引くことで、相手もちょっと落ち着きを取り戻すのが期待できます。それはどうしてかというと、言い合いをするのは通常、自分の事を見てほしい・聞いてほしいという欲求から来るもので、「わかった」と相手に言ってもらうことで少しこの欲求が満たされ、エスカレートさせる必要がなくなるから…ではないでしょうか。

 

自分が正しい=相手に勝つ…のをやめる

この言い争いで自分が正しいと証明したからといって、どんなメリットがあるのでしょうか。自分が正しいと証明することより、もっと夫婦(カップル)でチームとして上手くやっていく方が大切なのではないでしょうか?もしも最終的に何が大切でどこを目指しているかわかっていたら、無駄な言い争いも意味がない…と、思えるかもしれませんよね。

 

落ち着くために他のことをする

近しい人との言い争いって、本当にむかついたり傷ついたり、強い感情がわいてくるものです。かといって強い感情で心がいっぱいになっているうちは冷静に話すことも難しいと思われ、どうしても心を落ち着けさせることが必要になってきます。こういう時は、いったんその場を離れ、散歩やジョギングに行ったり、怒りのエネルギーを他の建設的なこと(例えば家事)に向けてみるのはどうでしょうか。

 

今日のまとめ

対立が言い争いになってしまって、いわゆるここでいう「エスカレーション」してしまう事って、「ある・ある」とうなづいていただけたかと思います。うちも例にもれず…たまに「やっちゃったよ」ということはあります。(ただ、ひどくなる前にやめるように心がけておりますが。)

実際私がお話を聞くカップルの方々には、「ケンカが絶えない」という方々もいらっしゃって、この時のケンカのパターンはエスカレーション型が非常に多いかと思います。そして、気になるところは「どんなふうにケンカされているか、ケンカについてパートナーとお話されていますか?」と聞くと、ほとんどの方が「話していない」というのです。もしかすると、あまり日常どうやってコミュニケーションしているか、普段から話ができない…という方々もいらっしゃるかもしれません。こちら、西洋ではやはりオープン・コミュニケーションが良しとされている文化的な背景もあり、PREPなどで提唱されていることもはやり「夫婦でよく話し合いましょう」的なアドバイスが多いのです。ただ、パートナーとあまり話ができない、相手がそういったことを好まない場合もありますよね。人と人との間のコミュニケーションって、相手の出方に影響されることも多く、もちろん自分が出方を変えれば 相手の出方も変わって来ることも期待はできるのですが…。やはり、カップルの関係って二人の人が作っているもの…と考えると、一人ではなく二人でこのことを一緒に考えられるのがベストだと思っています。

 

さて、次回の「4つの危険信号」は、パターン2「相手を見下す言動」をご紹介したいと思います。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!