
こんにちは、みなさまお元気でしょうか?今月のブログをもうそろそろ書かなきゃ、と思案していた矢先のこと、ノルウェーの国王 Harald (ハーラル)5世が8月28日にご逝去されました。短い入院期間のあとでした。
「国民みんなのおじいちゃん」のニックネームもあった王様。私がノルウェーに来た31年前にはすでに王座に就かれていて、いつも当たり前にいらっしゃった存在。ノルウェー王室には特別な感情はないけれど やっぱりしんみりしますね。今日はそんなわけで、ご逝去された日から今日までの人々や街の様子、また(主観になりますが)私が感じているこれからのノルウェー王室のことなどもちょっと交えてみたいと思います。よろしければ最後までお付き合いください。
ハーラル5世
今年89歳というご高齢だった王様ですが、これまで入退院を数回繰り返していたので、今月17日の入院も、またお元気になって退院されるのかな、と思っていました。もともと、セイリングなどのスポーツ(オリンピック出場経験もあるとか)もアクティブにされていた方で、近年は足が不自由になられたのをお見受けしていましたが、先月のサッカーワールドカップの凱旋イベントにも出席されていて 年齢の割にはお元気そうな様子だったのです。また、各スポーツイベントにも必ずと言ってよいほど観戦に行かれ、選手たちにハグ(しかも、通称「Bamseklem」のベアハグ… ガバッっと思いっきりやるハグですね)をするなど、なるほど、みんながおじいちゃんと呼びたくなるのも分かる気がします。王妃になられたソニアさんとの結婚も、当初は彼女が民間人とのことで認められず。ハラール皇太子はねばりにねばり、なんと9年の歳月を費やして周囲を説得。国王自身は、「自分はシャイだから…」とおっしゃっていたのですが、ご自分の信念を通される方だったようです。
私がノルウェーに来た1995年は、国王に即位されてから4年がたっていましたが、そのころよりも近年…特に、テロ事件があった2011年あたりからの方が「庶民的で親しみやすい」というイメージが強いです。と、いうのもテロ事件のあとの追悼式でのスピーチでは、悲しみにくれるご遺族を言及された際、壇上で泣いておられました。また、ジョークを飛ばして笑っておられる印象も強いです。とにかく、優しく・穏やかで、国民との距離が近い王様だったと思います。
国全体が喪に服す
先週に入って、国王の容態が悪化していると報道されました。特に、27日には政府関係者が予定をキャンセルしてノルウェーに帰国したり、王妃を初め国王ご家族が次々に病院に集まるなど、緊張した空気が流れました。夫とも、夫のお父さんが亡くなった時に似ているねと話していたところ。もう、「今日・明日」という感じで。
金曜日は通常に出勤。9時過ぎにクライアントさんとのアポへ向かう際、図書館の前を通り過ぎると、掲示板に王様の写真が…。そうです、朝早くお亡くなりになったという報道があったのは、出勤して間もなくだったよう。この日は、上司からのメールで葬儀までは国家服喪期間に入った旨のお達しもあり。イベントはなるべく避けるように、とのことでした。
次第に、王宮に献花に来る人々の様子や訃報を聞いた人々のインタビューなどがニュースで流れてきました。街でもちらほら花束を持って歩く人々が増えて行きました。この日はたまたまオスロ中央駅から王宮にまっすぐ伸びる、メインストリート(Karl Johan)で買い物をして帰ったのですが、次から次へと献花に向かう人の流れができていました。


おそらくオスロ大聖堂は旅行者の方のために随時開放されていると思いますが、半旗が掲げられていました。また、国王ご逝去を知らせるポスターがトラム内やショッピングセンターの入り口など、いたるところにあったので、いつもと違う雰囲気に一気になった…と言う感じがしました。TVやラジオも追悼番組が一日中続いています。
新国王・ホーコン8世 新しい時代
日本が昭和から平成に代わる際も天皇がご逝去されたわけですが、ご家族としては悲しみの中でさまざまな手続きも行わなければならず、さぞお辛かっただろうな、と思います。今回、少し驚いたのはハーラル王がご逝去された瞬間に、新国王が誕生し、公務をこなされていた…と、いうこと。同じ日の午前中に内閣を招集していました。また、昨日(ご逝去の翌日)の夜7時からは国民全員に向けて、国王として初めてのTVメッセージも。くしくも、ハーラルとソニアご夫妻の58回目の結婚記念日だったそうで、ここに言及された際は、涙声になっていました。
ノルウェー王室にはvalgspråk(モットー)がありますが、ホーコン王は前ハーラル王・オーラヴ王(祖父)と同じ、『Alt for Norge(すべてはノルウェーのために)』というモットーを選びました。
ホーコン8世は、私より2つ年下で言ってみたら同世代。いつも冷静で聡明な印象で、若者層にも支持が厚く、「クール」なイメージ。ご結婚25周年の今年ですが、当時は3歳の連れ子を持ったシングル・マザーが皇太子妃になるということで、物議を醸しだしていました。でも、自分の父親が周囲の反対を押してまでも愛する女性と結婚したのもあり、やっぱり自分の意思を貫かれましたね。(さすが親子!)
でも、去年・今年はホーコン王にとってはかなり辛かったと思います。王妃メッテ・マーリットが深刻な肺の病気で肺移植手術されたのはつい最近。もう少し前には彼女の連れ子のレイプ・性的暴行・DVでの起訴。この冬は例のアメリカ実業家のエプスタイン氏との過去の交友スキャンダル…と。とにかく、自分の家族を守るといった姿勢で、彼がマスコミの矢面に立って発言していた姿が印象的でした。うーん、せめてハーラル王がもう少しほとぼりが冷めるくらいまで生きていてくれていたら…と思わずにはいられません。
今後の予定
今日の報道では、前国王葬儀は9月9日と決まりました。その前、9月1日には、新国王が議会で「憲法を遵守し、国と国民に忠誠を誓う」ための公式な儀式・宣誓をします。
実はノルウェーでは1990年に憲法改正で、国王の最初の子が性別を問わず王位継承するようになりました。ホーコン王の最初の子は、Ingrid Alexandra(イングリーアレキサンドラ)で、22歳。去年、オーストラリアに留学していましたが、お母さんの病気のため帰国していたところでした。これからは王位継承者としての公務など、例えば王の代理などもこなしていかなければなりません。彼女も、イメージだけですが聡明で頭が良く、冷静にいろんなことをこなせるタイプでしょうか。お父さんのホーコン王に似ているのでしょうね。仲もすごく良いようです。
今日は、ちなみに「追悼礼拝」が全国的に執り行われました。私はオスロ大聖堂からの礼拝を国営放送で見ました。また、王宮への献花の人もまだまだ絶えないようです。職場では、今週のグループアクティビティで献花・献灯を利用者の子たちとする予定になっています。これからもチャレンジが多く、大変そうなノルウェー王室ですが ハーラル5世のご冥福と、王室ご一家の悲しみからのご回復をお祈りするばかりです。
今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

















