ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

❤結婚10周年❤ その2.国際結婚のカタチ

みなさまこんばんは。気が付けば、7月ももう後半。今日(まだ21日)は前述の「22.juli」から10年を明日に控え、追悼イベントなどが始まっています。コロナの方は、デルタ株が主流となり油断ができない事態なのですが、若い子たちのワクチン接種も始まっていることから 感染者はそれほど増えていない状況です。日本のメディアで見るのと、こちらの私のクライアントの子たちからの話を比べると、こっちの若い子たちの方がワクチンを抵抗なく受けている印象です。

さて、今日は私たち夫婦の結婚10周年記念企画の第二弾…ということで、私たちが出会ったころからの夫婦関係を国際結婚という視点でつづってみたいと思っています。

 

日本とは関係のないノルウェー人とインテグレート外人の出会い

さて、一年前のブログ*1 でもお話したとうり、主人と出会う前の私はノルウェーにすでに15年ほど住み、正規の公務員、車や自分のマンションを持ち、ボランティアなどでも2・3の団体にかかわっていました。自他ともに、ノルウェー社会にとってもインテグレート*2していましたし、一人で十分やっていけたのです。ところが、最初の独立目標が実現を果たすと、なぜか一人で自分のすべての時間・お金・労力を使うことがさみしく感じられるようになったのです。「ここに生活を共にする伴侶がいたらなあ…」という希望です。そんなこんなで始めたネットデーティング。いわゆる「出会い系サイト」なのですが…。

ネットを通した婚活では、多くの方々とお会いしました。しかし、大半の方々が私の「日本人」というバックグランドに注目してしまい、会話の話題も私個人とは関係のない「日本はああだこうだ、日本人はああだこうだ」ばかり。なかなか「私」という個人と向き合ってくれる方はいなかった気がします。(それか、そこまで行きつかない)ところが、うちの主人は、なぜか日本に関する質問は初めからしなかったので、それが一番印象に残りました。彼は生まれも育ちも(当時)人口数千人という、ノルウェーでは典型的な町出身。みんながみんなのことを知っていて、いろいろな情報が人から人へとかなりの速さで広まるという…。お勉強が苦手な彼は大学などはいかず、手に職系の職業を選んだので、英語もあまり得意ではありません。日本は船乗りだったお父さんが昔行ったこともあり、行ってみたい国の一つだったらしいのですが、それ以外は全く日本との接点なし。

国際結婚される方々の出会いのカタチ・きっかけは様々だと思います。私のノルウェー生活でお会いした方々も、ご主人(または奥様)と出会った時点ではノルウェーには住んでいなかった方や数年住んでいた後で知り合った方、と様々です。が、私のようにかなり長い時間住んでいた後で国際結婚される方はあまり聞いたことがありません。そんな意味では、もしかしたらレア・ケースと言えるのかなあ…と思うところですが…どうでしょうか。

ちなみに、ですが。お会いした方々の中で一番多いのではないか、と思ったのがどこか第三国で留学中などに知り合われたカップルでしょうか。日本人伴侶さんも留学されるくらいですから、英語もでき、ノルウェー人伴侶さんの方も国際的な方…という方々ですね。それから、日本人伴侶さんがノルウェー滞在中の数年のうちに出会ったカップル。留学、または最近はワーホリ中…という感じですかね。同じレア・ケースで、ネットを通して知り合われ、遠距離恋愛の末にご結婚された方々も何組かお会いしたことがあります。

 

こんなところが強みかもしれない(独断と偏見)

どうして日本に関する質問をしなかったか…と、主人に尋ねると「君が日本人だってあんまり意識しなかったんだよね。」との答え。「君っていう人がどんな人かってことが一番興味があった」らしいです。うーん、そうか。でもそれは、もし私がノルウェー語しゃべれなかったら、そうはなっていなかっただろうと予想はつくのですが。

私が独断と偏見で私たちの関係の強みかな、と思うところは かなり私が外人扱いされないということかもしれません。もちろん、食べ物で言えば、彼のソウル・フードはジャガイモとサーモンの夕食。そして私のソウル・フードはラーメン(もちろん、ソウル・フードは個人差あり)麺類が続いた日は「また麵なの?」と苦情もあります。主人いわく、私が一番日本人だと感じたのは 日本に行ったときにかなり変わる私の態度や立ち振る舞い…だそうです。それ以外、こちらに住んでいる限りはあまり私が日本人だと意識することはないらしい…。

強みの二つ目は、お互いの関係のバランスがかなり取れている気がします。私は日本国籍なので2年に一度「滞在カード」を申請しなければなりませんが、外人だからと言って、職場の待遇が不利ということもなく、とりあえずノルウェー人一般人が持っている権利は保証されています。*3 うちの中でも、特に不利なこともなく、二人とも出費を半々でシェアできていることから、夫に援助してもらわないとできないことも 特にありません。

最後の強みはやっぱり自分が出会う前にいただいたノルウェー生活の経験でしょうか。他の方から聞いたことがあるのは、ノルウェー人伴侶さんや、そのご家族の価値観や習わしなどがそのまま「ノルウェーはこうだから、こうするのが普通だ」と言われてしまうこと。私はノルウェー全土に住んだ経験はありませんが、とりあえず何がノルウェー一般的なことか、何が個々の家庭にある習わしなのか 判断はつきます。つまり、「こうするのがノルウェーだ」と言われても、「いや、それは違う。あなたの家だからよ」と言い返せるのです。(まあ、別に言い返せても返せなくても、どちらでもいいような気もするのですがね。)おそらく、自分自身の経験がある種の自信のようなものとなって 私の「インテグレート外人」としてのアイデンティティーを支えてくれているのかもしれません。

 

でもやっぱり主人にとっては新たな体験

私たちはお互いに晩婚で初婚だったので、結婚生活自体もまったく新しい体験でした。主人は民間の会社、私は公の機関の職員なので、お互いに職場の待遇も違いがあり、そんなことも彼にとっては新鮮だったかもしれません。結婚当時、オスロでも最大の総合福祉事務所に勤めていたので、仕事量の多さなどは彼もびっくりしていました。「いやー、市の職員ってこんなにこき使われているの知らなかった」と、言われたものです。この後、転職活動をするにあたってびっくりされたのは、外国人に対する差別があること。どうも、私の学歴と職歴から「引く手あまた」だと思っていたらしいのです。例えば、名前だけで外国人名は書類を見てもらえないケースも現実にあるということ。これも、彼にとっては新発見だったようです。

普段の生活以外での「新しくって素敵な人生の変化」は、日本の家族ができたこと、と第二の自分の国となった日本での体験と言っています。もちろん、彼が日本に行ったらどこから見てもガイジンだし、日本語だって習得しているわけではありません。ただ、本人はそれでも人とコミュニケーションが取れるし、日本人の考え方も理解できるといいます。温泉も大・大ファンになっています。

 

変化し続ける生活ルーティン

数年前、実家の母が病で倒れたとき以来、実は私のルーティンが大きく変わりました。それは、母の生活にフォローアップできるように それまで全く見ていなかった日本の情報番組を見たり、国民年金介護保険などの情報収集です。どちらかというと、ビジュアル系で情報収集するのが得意な私は、もっぱらYouTubeを使っているのですが、おのずと夕食後のノルウェーニュースチェックの後は日本の番組のアーカイブを見る時間となっています。

本当に昔はどちらかというとノルウェー社会へ溶け込む方に夢中で、日本のメディアも全く興味なかったように思います。が、自分も歳を取りやはり祖国への関心も増しているのかもしれません。そういう意味では、主人ももしかしたら、今の方が私の日本人アイデンティティーをひしひしと感じているかもしれませんね。

 

国際結婚のカタチは本当に様々で、どれが良いとか悪いとかいうことではないですよね。ただ、国際結婚はいろいろなことで葛藤が多いことも知られています。言葉やコミュニケーションが上手くいかない、とか引っ越してみたけど生活はこんなはずではなかった…などなど。そんなことがきっかけで、私の修士論文も国際結婚がテーマだったのです。

今日は私たちのカタチを紹介させていただいたわけですが、いくら私がインテグレートしているとはいえ、問題は起こります。次回は私たちが日ごろから心がけていることなどを書いてみたいと思います。今日もここまでお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

*1:"Mine 25 år i Norge" ノルウェー生活25年を振りかえって… その4.オスロのシングルライフ - ハンブルネスのひとりごと

*2:「社会に同化している」「溶け込んでいる」という意味で使っています。

*3:強いて言うと、国政選挙の投票権がないことや、ヨーロッパ内の他の国で医療費がカバーしてもらえる「ヘルスカード」がもらえないことくらいでしょうか。