ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

ノルウェーの歯科事情

こんばんは。マイユニです。皆さまお変わりありませんか?

私は、歯がどうも昔から丈夫ではなく、歯科治療を割と受けてきた方だと思います。こんな私がノルウェーに住んでいるのがすごくミス・マッチな気もするのですが…。と、いうのもノルウェーは歯科治療がほとんどすべて自己負担なのです。今日はノルウェーの歯科事情について綴ってみたいと思います。

日本では「スウェーデン式 予防歯科」がかなり知名度が高く、私も日本で歯科にかかるときにノルウェーに住んでいる旨を告げると、隣の国だけに 同じような歯科医療になっていると思われるのですが。こちらで「8020運動*1 って、知ってる?と、いろいろなノルウェー人に聞いて見ても、「知らない」「聞いたことない」との答え。逆に、よく耳にするのは、「奥歯の神経の治療が要るから、先生に抜いたほうが安いって言われて抜いちゃった…」と、第1とか第2臼歯(中心から数えて6番目と7番目)を抜歯してしまうという話。周りを見ても奥歯がない人が少なからずいるのです。

 

大人になったら歯の健康は自分の責任

ノルウェーでは、18歳になると成人となりますが、成人後は歯科治療に対する国からの治療費の援助はありません。これだけ高度福祉社会なのに、です!それは、「大人になったら、歯のメンテはあなたの責任」というシビアさが背景にあるからでしょう。例外的に国の保険システムで援助も出ることもありますが、特別な疾病の場合のみ。それでも歯科医が各自で設定している料金により、自己負担金もかなり上下してしまいます。

治療費ですが、例えばレントゲンを撮って検査をして歯石を除去するだけでも1万ー1万5千円くらいは飛んでいきます。先に書いた根幹治療の方は歯の場所にもよりますが、奥歯だと8万円くらいから。(ただ、この値段はパッケージ価格なので、一つの治療に対し、いくらです。)これに、かぶせものや詰め物の費用などが加算されます。

経済的にひっ迫されている方は、どうするのかというと、ローンを組める歯科もありますが、諸事情によりローンなどを組めない方々は最終的には生活保護という手段があります。以前、オスロ市の生活保護課で仕事をしていた私ですが、そこではまず 市営クリニックへの紹介状(検査代金を保証する内容)を出し、クライアントさんに検査を受けるようお願いします。そこで市営の歯科が作る「治療予定・費用表」をもとに援助金を支給するしくみです。ただ、その市営のクリニックへの検査待ちも最低数週間なので、今 歯が痛くてどうしようもない方には緊急にお手当を出すこともあります。ただ、それも市営の緊急歯科クリニックで、最低限の治療のみ。ただ、歯科治療のみであっても生活保護を受けられる基準があるので、普通の給与で暮らしている方々は対象外となることが多く、かといってウン万円払う余裕のない方々は途方に暮れることも多いのです。

オスロオスロ近郊に住んでいる方々はノルウェーの唯一の歯科大学、通称Tannlegehøyskole (オスロ大学)で少しリーズナブルに診察、治療を受けられますが、ここははやり歯科医の卵が研修している場なので、待ち時間もかかりますが、治療中も先生の説明が入ったりで 延々と座って口を開けているのがしんどいと聞きました。

この、歯科治療の全額負担は これまでも改正しようと訴える政党もあったのですが、なかなか変わらないのが現状です。そんなこんなで、こんな背景もあり 検査をしてどんな治療をするかというときに 特に難しい根幹治療の時などは、かなりの割合で「抜歯」がチョイスとして挙げられます。そうです、隣国(というか4時間行った先のヨーテボリ)とはかなり違う事情です。

 

スウェーデンでは?ノルウェーとの共通点

やっぱり、気になるスウェーデンの事情。ここで見つけた実際にスウェーデンで歯科医をされている方のブログを張り付けてみます。

medium.com

以前にもたしかスウェーデン人と結婚されている方のブログを読んだことがあるのですが(今、どう探しても見つからないのです。ごめんなさい)、高額の治療に対しては歯科医療保険が使えるという内容でした。日本の生命保険のように自分でお金を出して掛けるタイプかもしれません。

同じブログにはご主人の歯の磨き方が書かれていました。フッ素入りの歯磨き粉をたっぷりつけ、あまりゆすがないという磨き方です。フッ素をお口の中に残すということですね。

ノルウェーでの予防歯科は、フッ素のサプリメントを飲んだり(未成年時)、やはりフッ素入りの歯磨き粉や 日本では売っていないフッ素入りの口内洗浄液などを使います。とにかく、フッ素がカンタンに手に入ります。先のブログのご主人ではないですが、うちの主人も歯磨き粉を(大き目な)ハブラシに3センチほどたっぷりつけて磨いています。私に比べ歯磨き粉の減りが異常に早いなと感じます。奥歯を根管治療する代わりに抜歯してしまう人が居る中、彼の場合は虫歯もなく 神経を抜いた歯も一本もないという、かなり恵まれた(と、いうかノルウェーの歯科医療にはお手本的な)ケースです。

 

昔と違い、「新規患者さんウェルカム」の今

最初に学生でオスロに住んでいた時も、実は虫歯ができてオスロで歯医者に行きましたが、その当時は本当に歯科医も少なく、「新規はお断り」も多かったのです。この歯医者さんは知人の日本人の先生だったので、コネを使ったと言ってもいいでしょうか。その後、地方に住んでいた時も数少ない(イコール選べない)歯科医に何とか診療してもらう感じでした。

ところが、2000年に入ってくらいからでしょうか、歯科医が海外から移ってくるようになり 都市部ではリーズナブルさを売りにする歯科医院がかなりできました。(田舎の方では、もしかしたら状況はあまり変わっていないのかもしれませんが…)私も、東ヨーロッパ歯科医を中心としたスタッフがいるクリニックに数年間通いました。ここでは、高額なインプラント治療などを同じ系列のハンガリーにある医院と提携することで、ブタペストで治療してオスロでメンテナンスというオファーもしていました。

今通っている歯科医院は、住まいから2キロ先のショッピングセンターにあるのですが、数年前に開業したところで かなり良いフォローアップを売りにしている医院です。

40を過ぎたくらいから、昔治療していた部分(根幹治療など)や二次的カリエス(詰め物の下で虫歯になる)の再治療も増え、基本的には日本の歯科を利用していて、ノルウェーの歯科医院はどちらかというと緊急時用のみでした。やはり、日本だと健康保険が利くことや 歯をなるべく残すポリシーの歯科医がいること、高度な治療、削らない治療などこちらの歯科医がやっていない新しいアプローチが施されているのが 全然違います。

 

まさかの虫歯を見つけられてから…

今年は年末年始の一時帰国した際に歯の診察をしていただいたのですが…。3月、何か固いものを食べていた時に下の奥歯が欠けてしまいました。そこで、ショッピングセンターにある歯科医に行くと、なんとその歯には歯茎との境目に大きな虫歯があったのです。(シミのようなものと思われて日本の歯科では見過ごされていたのでしょうか?)この歯は実はまっすぐ生えている親知らず。治療の前に、早速「抜歯したほうがいい」と何度も言われました。

子供の時の矯正治療で下あごは二本足りないこともあり、どうしても今は抜きたくないと言い張り、なんとか治療してもらえ この歯はまだもっているのですが。この治療もおそらくきっかけとなり、その後 予想していなかった事態に発展してしまったようです。

その事態とは…?次回ブログにてお伝え出来る予定です!(To be continued... ということで)

今回もお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

*1:80歳になっても20本以上自分の歯を保とう…という、日本歯科医師会が推進してきた運動です。