非常事態の時には そこそこの人々のお国柄、というか 「何が普通」で「何がスタンダード」か、というのが色濃く表面化するものかもしれません。
前回から、記録の意味も込めてこちらノルウェーでのコロナ対策について書いています。私も本当に他人事ではなく…、というか こちらの人々には全くない習慣や感覚というのがあって、それらとコロナは相性が悪すぎる気がしています。今日はそんなもろもろのことを 私のノルウェー人主人の独り言も交えながらつづってみたいと思います。
まずい、まずすぎます。
ノルウェーでは北イタリアに最近旅行に行った方々が 自宅検疫をしています。その数数百人と言われています。昨日報道されたニュース *1 では、その中のある方たちが トレーニングセンターに行ったり、お買い物などをしていて、あたかも2週間の検疫期間を「ボーナス休暇」のように過ごしているのが目撃されたというのです。
以前にも書きましたが、こちらは国が定めた「病気休職届」があり、この期間は給与と同じ分の収入が「病気休職金」として(初めの16日間は雇い主より)支払われるのです。このようなお手当がありますので、検疫になっても収入減とならないのは ポジティヴだと思います。
どのくらいの方々が自宅検疫を無視して外へ出ているかわかりません。ただ、デンマークではこのような方々は法的に罰せられるということですが、ノルウェーではその法律はまだないと言います。と、いうことはどれだけ検疫の大切さを理解して守るかは 個々の人の知識理解力とモラルに100パーセント頼っているのです。
それから、昨日は感染者が56人だったのですが、今日は30人増えて86人。いずれも軽症なので、「自宅治療中」となっています。(オフィシャルな理由はもちろん、軽症なので入院治療の必要がない、ですが。いずれにしても、もともと入院ベッドが足りていないので、入院患者の居場所がない…というのが現状です。)自宅治療中…もし、症状が鼻かぜ程度なら、どれくらいの人たちが自分の状況を重要視するでしょうか。上記の自宅検疫中の方々とどのくらい違うのでしょうか? それから、自宅治療の方々がちゃんと家でおとなしくしてるかをチェックする人は居ません。
うちの主人とその知人の独り言ー自分の国の対応を嘆く
主人の知り合いで理学療法士が居るのですが、その方の奥さんはかなり深刻ながんを患っており、日ごろからマスクを着用している本当に数少ないノルウェー人の一人です。
他の西洋の国々同様、マスクはかなり「異文化」または「異様」な感じのものですから、当然この奥さんも人々の「異様なものを見る視線」を毎日浴びていると言います。この方に限らず、他にがん治療中の方や免疫低下をしている方、またはご老人などにとっては、上記のように若くて元気な人がウィルスを持っているかもしれないのに全く他人に配慮しない状況は「恐怖」に近いものがあります。
前回、「国の健康機関」と訳していたFHIは「ノルウェー公共保険研究所」と日本名ではなっているようです。こちらもなんとマスクについては 予防の効果は認められない、としていて こちらで求められている「咳エチケット」は「咳をするときは周りをみて、近くの人にかからないようにティッシュなどの中にしたり、ひじで覆うようにしましょう」です。
花粉症、喘息の方々が咳をすると周りのリアクションが怖いという 日本の状況も行きすぎだと思うのですが、どうでしょう?本当にこれで大丈夫なのだろうか?主人以外にもこの国の対応を非難する人は居るのです。が、この人たちはマイノリティーと言えるかもしれません。
私の独り言ー典型的なノルウェー的リアクション
ノルウェー人はかなりの個人主義で、「個々の人は自立して何でもできる能力がある」ことに重きを置いている印象です。なので、様々な判断も上からお達しが来るというのはかなり嫌なことで、自分たちの判断能力にかなりの信頼があります。そう、自分の判断がベスト…のノリでしょうか? 個人個人がそうなので、「国」としてノルウェーを外から見た時もかなり「ゴーイング・マイ・ウェイ」感が否定できません。一般的に、外を見渡して 外のいいものをどんどん吸収しよう…という態度はない気がします。
咳エチケットやマスクにしても、お国柄を感じずにはいられない…というのが、私の正直な感想です。もともと小国で人口だって少ないところなので、マスクしないこのくらいの咳(またはくしゃみ)エチケットでこれまで大丈夫だったのでしょう。(中世の時代ではかなりが黒死病で亡くなったのはありますが)
ただ、オスロのような都市部ではやはり満員バス・満員電車で混み合うことがあるので この咳エチケットではさらなる拡散は免れないのでは…と、思う次第。もしかして、これをスタンダードと設定した方たちは自家用車通勤だったりして どのくらい混みあっているかがわかっていないのでは、とさえ思えます。(お金がある方は自家用車通勤だったりします。)
とはいえ、私もこの国で滞在許可をもらっている一人ですから、「嫌なら出て行ってちょうだい」と言われても仕方ないですね。ただ、ものを言わなければ、何も変わらない。あくまでも、みんなにとってベターな状況になるように、という態度でものを言っていきたい…。そう、嫌なことをいうのも、ノルウェーの国民のためなのです。
*1:Nettavisen.no "Legevakten: - Folk i coronakarantene går på butikken og på treningssenter"