ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

ほとんど非常事態かも… コロナ in ノルウェー

2日前、急にこちらも「ざわざわ」した空気が漂い始めました。オスロ市が正式にコロナ感染防止対策を発表し始め、私の職場でも昨日の午前中から対策が立てられました。

昨日午後の政府の会見では、まん延防止政策として数多くの、しかも厳しい政策が施行されるとのことでした。(非常事態宣言はまだされていませんが…)

「戦後初めての経験」と言われ、本当にいつものノルウェーノルウェー人には見られない 焦り、緊張感や不安が 見て取れました。今日はこの2日間の様々な職場や社会一般の様子を記録してみたいと思います。(先週と今週の状況は前ブログにてお読みいただけます。)

 

対策の内容(抜粋) - 私から見たら、まるで「ゼロ」から「100」の違い…

昨日の政府からの発表*1 の時点で、国内すべての幼稚園・保育園、小中高、大学、その他国民高等学校(北欧によくある高校と大学の間の人生勉強・友達作りの学校)などの学校が閉鎖となり、カフェやレストランも、食事を出す場所でお客さん同士が1メートルの間隔で座れる場所以外は閉鎖、その他、トレーニングセンターやプールなども閉鎖となりました。

また「社会的重要な機能」を果たす職員の移動の足確保のため、公共の交通機関は通常通り運航とのこと。この方々は医療関係者や消防、それから福祉分野の職員など。今日の通勤のバスでは、運転手さんの感染を防ぐために前の部分はテープで囲ってあり、「乗り降りはすべて真ん中や後ろのドアからお願いします」の張り紙もバスの外側にあり。

本当に、この25年のノルウェー暮らしではちょっと経験したことがない状況です。

 

職場では…「所長?あれ、みんなどこ?」

昨日12日 政府の発表の前にオスロ市からの発表があったので、朝からチームリーダーや所長も緊急会議をしていました。オスロ市では、在宅勤務が可能なすべての職員を在勤に変更としましたが、うちの職場はノート型パソコンは与えられていないことや、あまりペーパーワークが多くないので、ごく一部の職員は在宅勤務となりましたが、あと残りの職員はすべて電話・ネットでユーザーさんとコンタクトという指示。私が昨日予定していた3件の家庭訪問もキャンセル、代わりに電話でのコンタクトに切り替わりました。

所長からの指示メールには、健康上の理由などで在勤が必要な人は申告するように、とのこと。それから、通勤する人は、時差通勤を心がける。所長によると、出勤を8時45分にしていても、タイムカード(アプリ)では「8時からにしていい」というのです。これで、みんなが就労時間をマイナスにせずに 安心して時差通勤できる、という… なかなか嬉しい計らいです。

 

今日13日 私は歯医者のため、出勤がほぼ昼の12時になってしまったのですが、職場に行くと居たのは数人の同僚。うちのチームの人は今日もともと休みな人が3人とわかっていたのですが、となりのチームの人は10人近くいるところ たったの3人だけ。彼らに聞いてみると、「子供がうちに居る人たちは、たぶん在勤でしょ」とのこと。

家庭訪問などで、みなが外に出ていることが多いため、Outlookの他にも共同ノートで直行・直帰などを他に知らせているのですが、なんと 今日はノートも空欄。Outlookも空欄。所長は普段は外の会議に行っていることが多いものの、会議類もすべて中止になっているはずだし…。

これは、うちの職場に特有なのかもしれませんが、やはり とってもノルウェーチックです。やはり自己判断で(所長には知らせていると思いますが)在宅勤務にしているのでしょうし、しかも誰が在勤で誰がそうじゃないか、という知らせもない。他の同僚に、「メールでちょっと知らせてくれてても良かったよね?」というと、ほとんどが私の意見に賛成です。だって、急にユーザーさんが訪ねてきたときに、誰が居て誰が居ないか把握できてないと 対応しきれないですよ。早速、この希望を所長あてのメールに書いてみました。

 

他、今日のランダム 

他に面白いな、ノルウェーチックだな、と思ったニュース。例えば、ノルウェーではHytte(ヒッテ)といって、小さな山小屋やマンションをセカンドハウスで地方の山森、スキーリゾートや海沿いに持っている(または、家族で所有している)方々が多いのですが、どうもコロナ対策と思い、地方にまさに「疎開」感覚で移動しているというのです。ただ、ヒッテがある地方自治体は人口ウン千人からウン万人の規模ですから、さきほどの市長さんのインタビューでも「できたら今すぐ帰ってほしい。この自治体の住人のケアで手一杯で、ヒッテの方々が重症になったら医療体制がパンクします。」という話がありました。

もうひとつは、「Dugnad (ドゥーグナード)は健在だ」、というニュース。ドゥーグナードはいろんな意味に訳せますが、ここでは「ご近所さんの助け合い活動」の意味でした。この在宅検疫者や在宅治療者が続出するなかでお買い物のお手伝いを助け合ってやっている、という話。以前、ノルウェー人のことを個人主義者と描写しましたが、実は日本と同様、昔は近所同士が助け合って生きてきたという社会背景があり、このドゥーグナード精神は今でも、たとえばマンションの住民会の共同のお掃除や、他に力を合わせて何かするときに出てくる言葉で、ノルウェー人も誇りにしていることの一つだと思います。コロナウィルスとの闘いも、国民ドゥーグナードと表現している人もいました。

 

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さて、今週一週間で、一気にここまで来てしまったノルウェー。日本でも小中高の休校要請が2週間ほど前にありましたが、そこまでには割とゆるやかな事態の流れだった印象です。(日本にお住まいの皆さまはもうちょっと違う印象かもしれませんが。)

さっき聞いた最新感染者数はもう900人だそうです。次々と著名人やスポーツ選手も感染者として伝えられました。どうなるのでしょうか。

私たちは割とまだ平穏でいます、というのは この事態は遅かれ早かれ来るかなという予想ができていたからです。ただ、施設関係の閉鎖のため うちの主人の仕事が減ってきたため 新しい要素も出てきました。あまり書いていませんでしたが、もちろんノルウェー経済にも大きな影響が あっという間に出てきています。

本当に、この状況が一国も早く過ぎ去り、素敵な春を迎えたいです。

*1:Helsedirektoratet har i dag vedtatt følgende - som gjelder fra klokken 18.00 torsdag 12. mars til og med torsdag 26. mars 2020, www.fhi.no