ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

PREP(プレップ)試してみませんか? その6 二人が良い仲になったあのころ

みなさま、こんばんは。お変わりありませんか?
昨年、ノルウェー版PREP(カップルのためのコミュニケーション講座)からのシリーズで2月から9月まで「4つの危険信号」についてお伝えしていました。今年はなかなかPREP始められずに9月になってしまいました。たくさんある章からどれをご紹介しようかと悩むところもあり…。まずは少しおさらいから始めます。


PREP:夫婦関係改善と問題予防、なおかつ学んで練習してみるプログラム

PREPは英語のPrevention and Relationship Enhancement Programの略で、夫婦・カップルの関係を予防と強化するためのプログラムです。80年代に米国・コロラド州デンバー大学の研究をもとに開発されたもので、それがModum Bad (モードゥム・バード)というノルウェーの精神保健研究施設で、ノルウェー仕様アレンジされてきました。私はプライベートでも夫とミニ・コースに参加したことはあるのですが、2015年にコースリーダーの資格を取得した次第です。
フルのPREPコースは14章からなっており、自分たちのお互いとの関わり合い方(コミュニケーション)での危険因子を探ってみたり、なかなか大切なことを話し合えないというカップルにはコミュニケーションツール(スピーク&リッスンテクニック)があります。また、日常の様々な問題を建設的に解決する方法も学びます。その一方、二人の関係の強みを強化していくことにも注目します。まとめると、弱い所を補正して、強い所をより発展させていく… なんかいかにもアメリカっぽい感じもしますが…。


今回のフォーカスは恋のエネルギー

昨年こちらでご紹介したPREPは危険信号…つまり、上手く行かないコミュニケーションのパターンに焦点が当たっていました。打って変わって、今日は「二人が良い仲になったあのころ」がテーマです。
もう結婚されてから、又は知り合ってから長いカップルというのは、仕事や子育て、また毎日のもろもろの事でうっかりすると一緒に生活するだけの共同体になっているかもしれません。もちろん、日本とPREPの舞台となっている欧米は結婚観(カップル観)が違っていてもおかしくなく、「夫婦生活とかいちゃいちゃが無くても幸せです」という方がいらっしゃっていてもおかしくないと思います。ただ、どうしてPREPが「あのころ」に注目しているかというと、誰かが誰かを恋する時には人を動かす強いエネルギーがあるからなのです。
たとえば、私が去年からマイブームの「はいからさんが通る*1 (個人的趣味ですみません!)でも、主人公紅緒が恋する伊集院少尉の生還を信じて彼の実家を守り、外に働きに出るという行動をとります。まだ二人の関係はそれまで成熟してはいなかったかもしれませんが、初恋の人を思う気持ちが紅緒に信じる力・頑張る力を与えたのでしょう。

さて、実際のPREPコースでは一人一人が以下の質問に向き合います(PREPコース教材,2007年ヴァージョンより):

  1. 初めて彼・彼女に会った時どんなことに気が付きましたか?
  2. 出会った最初のころのデートはどんな感じでしたか?何をしましたか?何を話しましたか?
  3. 二人の関係はその後どんなふうに発展していきましたか?急激に、それとも徐々に?ロマンチックに?情熱的に?それとも日常っぽく?
  4. 二人はお互いのどこに惹かれたのですか?

もし良かったらこの質問にパートナーさんと答えてみてください。そしてついでに、あのころの思い出話をしてみてください。何か、懐かしい・あったかいあの頃の気持ちが復活するかもしれません。実はこの気持ちが生み出すエネルギーがかなり鍵となって来るんです。


恋が愛に変わっていく時…

私のブログでもラブラブは永遠には続かないというお話をしました。PREPでも、恋と愛の違いを「愛はお互いに対する態度と姿勢」と言っています。一言で言うと、相手を認めようというポジティブな姿勢。恋する段階では相手はパーフェクトで、イマイチな部分や自分とは大きく違う部分は見えないことが多いかも知れませんが、恋が愛に移り変わる頃には相手のこういった「残念な」部分も容認することができているはずです。お互いにイマイチなところは分かっている、認め合っている中でそれでも一緒に居たい。そんな安心感がカップルの関係において、それぞれがそれぞれの課題に向き合える力と勇気を与えてくれるものではないでしょうか。

さて、実はこの章でも「愛を伝える5つの方法」が取り上げられております。詳しくはこちらで:

mayumiigarashi.com

この書のポイントは、相手の「愛情タンク」を自分がいっぱいに満たしてあげることにあります。つまり、相手が「愛されてる」と感じられる方法でコミュニケーション(時には何か具体的なこと)することにより、タンクが枯れることなく いつも「愛されてるな」と、のびのび安心して生活できる…ということなんです。もちろん、パートナーの「愛情タンク」を満タンにするっていつもいつもできることではないのが現状だと思うのですが。ただ、満たしてあげたいと思い、意思表示するだけでも自分が愛してるよ…っていうのが伝わるのではないでしょうか。

 

さて、久しぶりに再会したPREPシリーズでしたが、なんとなく今日のテーマをご理解いただけたでしょうか。欧米を舞台に開発されたカップルのコースだけに、すべての方に当てはまるかといえば、違うかもしれません。例えば、お見合い結婚で焦がれるような恋の段階はなかったという方もいらっしゃるかもしれませんし、伝統的な日本文化を大切にされている方には抵抗がある内容かもしれません。でも、それはそれで良いと思います。いろんなご夫婦・カップルのスタイルがあり、お二人が幸せと感じていらっしゃるなら。私は子どものころ「日本昔ばなし」を見て育った一人ですが、ここに出てくるおじいさんとおばあさんの姿ってとっても良いな…と昔から思っていました。欧米のように、ハグやキスはないかも知れないけど…お互いにお互いを信頼し合っていて、いたわり合っている関係というのが良く見て取れますよね。

PREPでも、カップルの友情関係についての章があります。そんなわけで、次回はこの章をご紹介したいと思っています。今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました!