ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

国王のスピーチ&更に厳しい政策… コロナ in ノルウェー

みなさん、こんばんは。ヨーロッパでは2月の末ころからコロナ感染が深刻になっていますが、中央ヨーロッパから少し距離のあるここ北欧でも先週から世の中が急変してきました。このところ毎日新しい政策が打ち出され、住んでいる私たちも 着いていくのがやっとという感じです。

先週から 目まぐるしく変わっていく ノルウェーでの日常を追いかけていますが、今日のブログでは週末に決まったこと、職場での今日からの決定事項をまとめてみます。

 

国境をついに閉鎖… 滞在許可のない外国人の入国拒否

週末出された新しい政策は 今日、3月16日の朝8時からの全空港・港・国境の期限付き閉鎖というものです。ツーリストや他の滞在許可を持たない外国籍の方々は強制送還という具合です。これまではノルディック*1の国々と「その他各国」で区別され 自宅検疫かどうかを左右していましたが、明日火曜日からは スウェーデンからの入国後も検疫の対象となります。スウェーデンノルウェー間を通勤している人は除外とのこと。物価の安いスウェーデンによく買い出しに行くノルウェー人が居ますが、買い出し後も14日間の検疫になります。

 

国王のスピーチ 「みんなでこれからのことを乗り越えていきましょう」

昨日の夜7時 政府の会見があるとのことでしたが、その直前に、国王から国民にTV挨拶があるとのこと。ノルウェー王室はかなりオープン、かつ国民に身近に寄り添っている存在でオリンピックやスキーのワールドカップなどにも顔を出し、国民と一緒に喜び・楽しむといったことを大切にしています。国王のスピーチといえば、いつもは大晦日のスピーチが定番ですが、昨日は臨時でした。「今、わたしたちは 信じられない、これまで体験したことのない 恐ろしい状況下に居ますが…」と始まり、「一緒にこの状況を乗り越えましょう」といった励ましや、「各政策を守りましょう」「お互いに親切にやさしく接しましょう」といった行動を促すものでした。*2

いつも自分の心のうちもシェアしてくださる国王だな、と感じていますが、昨日もエンパティックで 本当に国民を思いやっているんだなと思わせるスピーチでした。やはり、こんなスピーチが出てくると「ただ事ではない状態なんだなあ」と、思わずにはいられません。これを見て きっとたくさんのノルウェー人たちが励まされることでしょう。

 

ヒッテも禁止。自宅検疫を破ると2万クローネの罰金も。

さて、前回のブログでも紹介したセカンドハウスの「ヒッテ」。このセカンドハウスは地方の自治体に建っていることが多く、この週末もヒッテでゆっくり過ごそうと都市部からやってきてはスキーなどを楽しんでいる人の様子がTV に映りました。地方自治体にしてみたら、この方々の中に感染者が居て重症化でもしようものなら、一気にベッド数がなくなってしまうことから 「ヒッテに来ないでくれ」というお願いをしていたのですが、それを無視する人も多いことから、新しい規制として自分の住む地方自治体以外にあるヒッテに来ることが禁止となりました。*3 

想像通り、この週末ヒッテに来ていた人の中には自宅検疫の方々も居たというのです…。そんなわけで、今日 ある地方検事が、検疫を破る人に対し、2万クローネ(およそ18万円)の罰金を科せるという発言をしていました。

 

日に日に変わる職場からのお達し

社会全体でも日に日に新しい、さらに厳しい政策が出てくるので やはり職場でも毎日違うことが言われても仕方のないことかもしれません。

今日は所長も加わったチームミーティングから一日が始まりました。昨日付けで所属機関のHR長からのメールも入っていて、このメールの内容をもとに まずこの1週間のことを話し合いました。オスロ市の基本的対策としては、すべての職員を在宅勤務に変えることがありましたが、先週の時点ではうちの職場は該当できないのではという理解でした。で、結論から言うと、私も明日から自宅勤務となりました。業務内容はクライアントさんとの電話対応。今日も数人のクライアントさんにこちらから連絡を取り、健康状況や困っていることの有無の確認を取る作業でした。明日は朝10時にメッセンジャーでチームミーティング。それを1週間続けます。HRからの書面には、状況によっては 私たちの一時的移動もあり、たとえばどこかの部署で人手不足になった場合は そちらに出向という事態もあるということ。やはり、検疫の基準が日本よりもずっと厳しいことから自宅検疫になる人が多い中(実際うちでも2人の人が ヨーロッパに行って帰ってきたというので検疫になってしまっています。)人手を確保する必要があるのでしょう。所属機関では薬物中毒症の方々をケアする機関が多数あるので、もしかすると 私もそちらの方に近い将来回されることも あるかもしれません。

 

私の仕事は居住ソーシャルワークの分類で、クライアント(住人)のマルチケアといった感じですが、特にメンタル的に弱い子たちに気を使います。とりあえず、受け持ちの子たちで連絡が取れ、コミュニケーションが取れればまだいいのですが、返事をくれない子もいます。最初からすべての情報をもらっているわけではないので、もしかすると把握できていない健康面の状況がないとも限らず、さらに気を付けていきたいところです。でも実際は電話だけでの対応に限界を感じます。(もちろん、本当に必要があれば家庭訪問もできるはずですが…)

 

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今日の通勤バスは乗っていたのが私を含めて2人。空に近いバスだけがたくさん走っていて、街はがらんとしていました。不要不急の外出の自粛が始まり、職場からも職員として国の規定を守るよう 再度お達しもあり、なかなか窮屈な毎日になっていきそうです。感染者がまだまだ増え続ける傾向のノルウェーは、日本の政策よりもすでにずいぶん厳しい気がしています。