みなさまお元気ですか?バカンス・のんびりムードの北欧ノルウェーからブログ更新しております。先週、今週とこちらもかなり気温が上がっています。北欧の建物はどちらかと言うと、熱を蓄えるので、エアコンがない我が家では四苦八苦。最近、寝室に設置するファン付きLEDライトをぽちりました。
さて、今日は前回に続きノルウェー医療トピック、私自身が受けた検査レポです。ノルウェー医療に少し触れつつ、実際の心臓CT検査(造影剤をつかったもの)の内容などもお伝えしたいと思います。
ノルウェー医療 ー 福祉国家の裏の部分
実は今回の心臓CTは、心臓専門医の「やらなくて良い」を何とか粘ってOKをだしてもらったもの。いきさつを語るには、やはりノルウェー医療制度も少しお話しなければなりません。
ノルウェーというと、スウェーデンやデンマークに並んで、福祉国家というのは皆さんイメージの通り。医療費についても、年間に一人一人が払う「自己負担金」が定められていて、通常医療(イコール公的機関、または公的に補助がある医療機関)については、自己負担金をマックス払った時点で自己負担金該当とされる医療費は年内無料になります。今年の自己負担金は3278クローネで、およそ48000円くらい。一回に支払う自己負担部分にも公的補助があり、10割を払うわけではないのです。例えば、かかりつけ医の受診が2600円、また専門医(受診や検査など)は5800円ほど。と、受診料だけ見ると日本で3割負担の時に支払う金額よりもずっと高いですよね。処方薬などもやはり高いです。
そして、一番の違いは専門医への受診や検査などはすべて主治医を通さないとだめなんです。(主治医も公機関、Helsenorgeーヘルセノルゲに登録することになっている)で、この制度のデメリットが、福祉国家あるあるの「順番待ち」です。それぞれの病院のキャパシティーやトリアージなどにより待ち時間は様々ですが…。
私の心臓CTの件も、実は去年6月ころ胸やお腹に不快感があって、うずくまる場面があったんです。コレステロールもちょい高めだし、うちは血管系疾患の家族・親戚が多いので。もしかして、狭心症始まってる?と思い、主治医に相談。主治医は、「それは大変、すぐに国立病院(Ahus)に紹介状書きます」と言ってくれ、実際に紹介状も送ってくれました…が、数か月経っても、病院からはうんともすんとも言って来ない。私の方も、症状はそれほど顕著ではないので、心配はしていませんでしたが…。半年が過ぎたころ、かかりつけ医に「紹介状の返事来ました?」と聞いてみたのですが、彼女もびっくり。またAhusに問い合わせてくれました。また、民間のクリニックでも心臓CTをやっているのを知り、こちらにも主治医から紹介状をだしてもらったのですが、「循環器専門医以外の紹介状は受け付けてません」との返事。(ちなみに紹介状を書いてもらう際も当然、受診したので、2600円かかってます。プラス、紹介状料金も確かあったはず…)
検査の順番も、症状や年齢などで当然トリアージがあります。私の義父も、がんの検査でどれほど待ったことか。ただ、他の管轄区の病院でも受診・検査ができるよう、検査の待ち時間もHelsenorgeから見ることができます…が、遠くの病院を選ぶと交通費だってかかるしね…。私も昔、西ノルウェー時代に鼠経ヘルニア手術をオスロの病院でやったことがあります。オスロだと待ち時間が「半年」短かったため。
今年に入り、主治医が粘って聞いてくれた結果、「もうすぐ順番が回ってきます」との返事。これとは別(弁からの逆流)に3年に一度 Ahusの循環器科で心エコーを定期的に取ってもらっているのですが、この心エコー日が5月初旬ということで連絡が来ました。つまり、紹介状の件は…まさかの立ち消え?
心臓CTの紹介状への道
さて、定期健診の心エコーに行ってみると、いつもと同じ先生。彼は中東系の男性医師で、60代くらいの方。いつものように女性看護師が最初に心電図を取り、以前のデータと比較。この後、この先生がエコーを取るのですが、割とお話し好きというのもあり、いつも雑談をしながらの検査です。ただ、例の主治医からの紹介状の件について質問したところ「ちょっと黙っててもらえませんか」との注意。よっしゃ、検査終わったらとことん聞くわよ…。
まず、先生。「心臓CTは必要ないです。」と、一言。理由について尋ねると、「だって、動作時に胸が痛いとかじゃないんでしょ。だったら狭心症じゃないよ。」とのこと。ああ、この医者は最初から決めてる…と。だから紹介状も立ち消えたんだ、と悟りました。もう、今しかチャンスがないと思い、「でもね、先生。うちの母だって心筋梗塞の時は痛みはなかったんですよ。」「それに、先生もちろんご存じだと思いますが、日本人女性に特有な狭心症の種類だってあるじゃないですか。あれも痛みはないし、安静時に起きるものですよね。」「先生、私たち、東アジア人ってノルウェー人とちょっと異なるアナトミーだって私は思いますが。」などなど。言葉では言わなかったけど、究極の脅し文句「先生、私が死んだらどうやって責任取ってくれるんですか?」… て感じで迫ったかも。先生も、「造影剤はつかいたくない」だの色々おっしゃっていたのですが。ついに、「ああ、もうわかった。心臓CTね。はいはい。紹介状出しますよ。私が結果を見るからね。」そして、予約のお知らせが来たのがその1か月後でした。(また半年は待つと思ったけど…意外。)ちなみにお知らせは、Digipostと言ってデジタル郵便で来ます。あらかじめSMS又はメールで通知が来るようになっており、病院からの検査のお知らせには住所、日時、患者が事前に準備する事項などが書かれています。
検査準備
実際の検査は朝08:30からでしたが、お知らせには「1時間前には準備などのため、検査科に入ってください。」とのこと。Ahusへ行くには、家からまずオスロ市内行のバスに乗り、そこからまた東の方に行くバスに乗り換えます。およそ片道小一時間くらい。(AhusはAkershus Universitetsykehusの略称で、Akershus県とオスロの3区の管轄になっています)
さて、朝5時起きで7時半ちょっと前に着いたのは良いのですが、やっぱり受付は開いておらず。ちょっと待ってから受付を済ませ、今日の検査料をカードで払います。なんか、受付の事務の人もちょっと感じ悪…などと思いつつ、待合室に向かいます。検査ではあらかじめ造影剤を点滴することも分かっていたので、かなり緊張。と、いうのも、私の血管って究極に細くて滑るやつなんです。しかも、脂肪がジャマで血管も見えないし。以前も血液検査で4回刺されて、いずれも失敗に終わるという。なんか、すっかりトラウマっぽくなっています。そんなこんなで、血管が少しでも出やすいように、待合室でちょっと運動しちゃったりしていました。
8時になってもなかなか呼ばれないので、検査室から出てくる職員さんに尋ねると、なんでもこの時間は脈拍を鎮めるためなんだとか。そっか、でも私の安静時脈拍数は80近いから、鎮めるっていっても限度があるなあ…と思いながら。なんか、そのためだけに朝5時起きっていうのも、なんとも無駄な感じ。
時計が8時半近くになって、ようやく私の番がやってきました。担当の看護師さんにすごく待った旨を伝えます。すると、「今日は職員不足でお待たせしています。すみません。」とのこと。なんでも通常3人態勢が2人でやっているんだとか。あるある…だわ。検査着に着替えて検査台に移ります。また、私の難しい血管の事も伝えます。なんでも心臓CTでは右の腕に点滴を入れるのだとか。が、右の腕は全く血管は見えず。で、しかたないので右手首から入れることになりました。(昔、ここから点滴をした痕が…)以前も手首から採血したことありますが、やっぱり腕に比べ痛いですよね。この時もかなり痛かったです。針も無事に入ったのですが、「脈が高すぎるので、脈を下げるお薬を飲んで、1時間ほど待ってもらいます。」だそう。脈が高いと心臓の鼓動が早く、CT画像がぼやけることがあるのだとか。脈は60台じゃないとまずいそう。このお薬は、うちの夫など、心筋梗塞をした人が良く飲む「ベータブロック」と言う名前で、副作用としては、めまいなど。この後、呼吸止めの練習を兼ね、数枚を造影剤無で取った後、待合室に戻されました。服に着替えるのは手首が痛くてできなかったので、コートを羽織って廊下へ。しばらくすると、私の後に検査室に入った数人も同じように点滴の準備をされた後 待合室に戻ってきました。
検査
自分でも脈をとっていて、脈が60くらいになったなあ、というころまた呼ばれました。看護師さんからは、こんな説明。まず、大体の患者さんが緊張のため脈が上がるので、追加の脈を抑える薬を点滴から投入。そのあと、検査5分くらい前に冠状動脈を広げるニトログリセリンを口に入れる。ニトロが溶けたころ、いよいよ本番。造影剤はポンプ式になっているらしく、今回は2ラウンドでした。まず、冷たいものが右腕を通って行って、その後、胸がカーっと熱くなります。次に一瞬尿意を催すのですが、これはすぐに消えます。一回目が終わってから、看護師さんがまた説明に来て、すべての画像を調べるとか。(2回目があったってことは、画像がいまいちだったのかな?)最終的に画像のOKが出たようで、とりあえず検査終了。CT自体は20分くらいだったでしょうか。(最初の点滴準備に30分くらい?)ただ、また待合室に戻っても20分は点滴が刺さったまま様子見とのこと。すると、違う看護師さんが来て点滴針を抜いてくれたのが、11時近くでした。この日はこの後仕事に出ましたが、ベータブロックの副作用のせいか、めまいや倦怠感がありました。ちなみに、今回の看護師さんは一発で針を入れたので上手い方だったと思いますが、数日後やっぱり内出血のあとが…。内出血は致し方ないのか。
検査の感想
数日後、この検査をしなくていいと言っていた先生から検査結果のお手紙をいただきました。「ハロー、マイユニ!(なぜか感嘆符…)冠状動脈はノーマルでしたよ。… (以下省略)」「だから、言ったじゃないの。狭心症なんかじゃないって!」という先生の声が聞こえてきそうでした。ちなみに、弁の逆流はまた3年後に定期健診で見ていただけるそうです。
そうですね、やっぱりこの検査ってかなり大がかりだったんだわ…というのが正直な感想です。いろいろな薬を飲まなければだったし、時間もかなりかかる検査でした。でも、しなかった場合を考えると、やっぱりしてもらって一安心というところです。ちなみにCTの種類は「スペクトラルCT」だそうです。
日本でも医師によるのでしょうが、典型的な症状がなくても、ダメだとは言われないような気がします。ノルウェーでは、国の経済的負担が大きいため こういった精密検査は特に敷居が高めかもしれません。(お金がかかることは、よっぽど確実じゃないとしない)それで、ノルウェー医療ではあまり予防的医療としての検査はしていないのかも。50歳以上の女性が全員うけるってのは、乳がん検査くらいですもんね。乳がん発症率が高いですから。でも、仮に検査をせずに病気の発見が遅れた場合、とばっちりを受けるのは自分ですからね。この辺、患者もしっかり主張する必要があるかもしれないです。
そんな事態を避けるために、医療保険に入る人も近年増えてきました。民間の医療機関で公の提携や補助がないところは10割負担となるためです。が、全額払えば待ち時間もほとんどなく、専門医での受診・検査ができるためこちらを選ぶ人の気持ちもわかります。私も数年前に眼部帯状疱疹にかかった際、ドイツの病院を受診してたという理由で通常の眼科では眼底検査などはしてくれず。そこで民間の眼科クリニックに問い合わせると、当日中に受診・検査ができるとのことで行って、約26,000円を払いました。高かったけど、眼だけにちゃんと見てもらいたかったんです。うーん、こう見るとマイナス部分はかなり大きいですね。ノルウェー、良い部分もたくさんあるけど、医療システムはなあ…。もちろん、国内の他の病院(別管轄区)ではもうちょっと違ったりするかもしれませんが。
と、いうことで、今日は自分の体験談を交えながら最近受けたCT検査とノルウェー医療について語ってみました。最後までお読みくださり、ありがとうございました!