ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

高齢の母を日本に残して (前編) 

みなさま、こんばんは。お変わりありませんか?久しぶりのブログ更新です。この数か月、4週間ほどの日本への里帰りやその準備、また庭仕事で忙しい日々でした。

私には高齢で一人暮らしの母が日本におりますが、母の介助のため、帰国することがここ数年増えました。私と同じような状況にある方:日本に高齢の親御さんがいらして心配されている… という方々にむけ 母の事を書いてみようとずっと考えていました。が、このブログは基本は匿名なものの、フェイスブックにアップしたりすると素性がわかりますよね。そんなこんなで、どのくらい具体的に書こうか迷っていたのですが、なんとか個人情報を守りつつシェアできないか…と、少し試行錯誤ではありますが トライしてみます。お付き合いいただければ幸いです~。

 

日本に高齢の親が一人暮らしの場合

どのご家族にもそれぞれ、家族の歴史や文化的背景がありますね。うちの場合、母は30代の若さで未亡人となり、それ以来「母子家庭」という環境で私たちは育ちました。母は性格的には温厚でわりと細かいことは気にしない人です。私たち子ども達も、かなり自由に自分の将来を選べましたし、今もそれなりに好きな道に進んでいると思います。他のご家庭からみても、うちはあまり型にはまった家族ではないかもしれません。

母は私の兄弟たちと基本は同居だったのですが、さまざまな事情でここ数年は独居となっています。コロナも理由の一つでしょう。母は持病がありますので、私もさすがにコロナ禍初期は帰国することも躊躇したのですが、数年前からの認知機能低下がひどくなっている印象を受け、ワクチン2回目接種後のタイミング(2021年夏)で帰国を決行したのです*1。もちろん、私を通してコロナに感染させてしまう懸念もありましたが、それよりもまずほっておけないと感じたのです。

「ボケ日和」の著者、認知症専門医の長谷川先生 *2によると、認知機能のバロメータは冷蔵庫とありますが、この帰国時に私もそれをはっきり確認しました。冷蔵庫の中は古くなった食品などでいっぱいでした。ほっておけないと感じた直感が当たっていたのです。離れて暮らしている親の健康状態は電話(動画通話も含め)だけではわからなく、やはり来て正解でした。

 

コロナ禍直前の検査

コロナ直前の一時帰国時(2020年1月)も母の健康状態の悪化を危惧していました。ノルウェーでは個人の意思が尊重されていて、認知症などの検査には行きたくない母の気持ちを尊重しなければ…という思いと、かといって何もしない事の危険性もリアルに感じ、大きなジレンマでした。偶然、区役所で相談員さんと面談する機会に恵まれました。この時のアドバイスは目からうろこ…でした。心配なら、母の主治医に母の名前で受診することを勧められたのです。ノルウェーではとても考えられないことなのですが、実際にかなりスムーズに行き、主治医の先生と相談の上で「転ばぬ先の杖」で検査を受けてもらえました。良い結果が出たので、本人も喜んでいました。

 

私の次のステップ…

さて、2021年に話は戻ります。母の状態が悪化していることを確信した私は、「地域包括センター」という場所にたどり着き、アポを取って社会福祉士の方と面談しました。ここでは、うちの家族環境なども含めいろいろな心配や悩みをお話をさせていただき、相談できる方がいて、一人で悩まずに済んだのが救いでした。また この中のお話で、初めて介護保険について知りました。

【はじめての方へ】介護保険制度とは?しくみをわかりやすく解説します - LIFULL 介護(ライフル介護)

社会福祉士さんからのアドバイスもあり、最初はヘルパー(介護士)さんではなく 持病を持った母が納得してくれそうな訪問看護士さんの居宅支援からトライすることにしました。ただ、リンクでもありますが、介護保険サービスを受けるには まず申請書を出し、専門の職員さんによる認定調査(家庭訪問)を受けなければなりません。この時はかなりハードルが高い感じがして、あきらめかけました。

 

地域包括センターの訪問と申請書

結論から言いますと、なんとこの時 奇跡が起きたのです!自分でも何をどうしてこうなったかは、はっきり覚えていません。隔離期間のために5週間という人生初(!)の長い休暇を取って、その間母と二人きりでゆっくり過ごす時間があったせいもあるかもしれません。母がこの先ひとりで誰の見守りのないままで生活することを危惧する私の思いも伝わったのでしょうか。ノルウェーに戻る少し前、地域包括センターに「散歩がてら」たちより、申請書にもサインすると言ってくれたのです。本人は、「今すぐは支援要らないけど、必要になるときが来るかもしれないから」と言っていました。包括センターの社会福祉士さんは、実家の住所の担当の方でした。こちらでも、コロナ前から月一回の地域の高齢者の集まりがあり、マンションの民生委員さんもこちらの繋がりでした。と、言うわけで、私がノルウェーに戻る前に社会福祉士さんや民生委員さんともネットワークができた…ということで、一気に安心感が広がりました。

 

ノルウェー帰国後…

9月中旬にノルウェーに戻り、その後 9月末には社会福祉士さんと認定委員さんによる家庭訪問(認定調査)がありました。母は幸い、フェイスブック系のMessengerという無料通話アプリを使うことができるので、私もこの認定調査にノルウェーから動画通話で参加できました。やはり、本人からだけではなく 家族の話も重要視されているとのことでした。

と、ここまではとんとん拍子だったのですが…。その後 実家に郵送されたという要介護認定の通知も数回紛失してしまい、1・2か月の月日が流れ…。社会福祉士さんが、ケアマネージャーさんを指名してくださった後も、ケアマネさん曰く「お母さま、どんな支援も今は必要ないとおっしゃるので…」という具合で、支援サービスに入れないまま とうとう年も明けてしまいました。
ケアマネさんは、40代くらいの女性で、悪い方では決してないです。ただ、あまりにも「利用者ファースト」で、話が先に進みません。認知機能が低下しているご本人のご意見ばかり聞いていても 実際はご本人のためになっていない場合が顕著なのですがね。こんな時、ご本人の事をよく知っているご家族がご本人の意思に反して決めなければならないこともやむを無いのでしょう、と私は思います。やはりジレンマはつき物なのですが。

 

さて、今日のブログでは高齢の親が独居で、自分が遠方に住んでいて 頻繁に様子を見に行ったり、介助できない…という場合のお話でした。私も、親はいつも元気で大丈夫と思っていたかもしれません。母の場合は、10年ほど前から病気を患い、また心臓も悪いので 親子の関係がいつ逆転し、私が母を助ける番になってもおかしくないというのは薄々感じていました。
また、次回ブログでは今日のトピックの後編として、2022年から介護サービスがどうなって行ったかをご紹介したいと思います。このブログを読まれて、こんな状況の人が他にも居る…と、少しでも励ましになれば幸いです。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!