ハンブルネスのひとりごと

ノルウェー在住のシステムズ・カウンセラーのブログです

国際結婚を考える ― 日本とノルウェーカップルの場合 その4 ― 

こんばんは!今日の独り言は引き続き カップル・結婚といった内容です。

前回ブログでは離婚について、ノルウェーという背景をもとに考えてみました。でも ノルウェーであれ、日本であれ、結婚する人はみんな 幸せになりたい!…と望んでいることと思います。では、末永く伴侶と幸せにやっていくには どうしたらいいのでしょうか?「ラブラブ状態」がなくなったら、本当に終わりなのでしょうか? 今日はアメリカのカウンセラー、ゲーリー・チャップマン(Gary Chapman)の世界的ベストセラー「愛を伝える5つの方法」をヒントに考えてみたいと思います。

 

「愛を伝える5つの方法」by ゲーリー・チャップマン

この本はチャップマン博士のご自分やカウンセリングからの経験に基づく「自論」をもとにしたいわゆる、ハウ・ツーもの。彼はクリスチャンなので、かなり聖書からの引用も多く、まったくキリスト教に興味のない方にとってはつまらない内容だったりするかもしれません。

私がこの本に出合ったのは まだ独身のころ。当時お付き合いしている人がいて、知人に勧められて読んでみました。その頃の私と今の私は 経験も違えば 年も違うので、今この本を読みなおしてみると 「人生、そんなに簡単じゃないよなー」という思いがわいてきます。それに、今の私はどちらかというと、ハウ・ツーものは得意ではなくなっています。とはいえ、やはりベストセラーには理由があって、おそらくほとんどの方にとって、読んで損はないのではないか、という内容です。

 

「恋愛」と「愛」の違い

チャップマン先生でなくても みなさんは誰かに恋をした時のラブラブ状態と、関係が円熟して親密になった時の状態の違いを理解されてると思います。この本の最初の提唱は、感情としてのラブラブ恋愛状態が永遠に続くと思ったら 大間違いだよ、ということ。相手に恋焦がれている時、そんな相手と相思相愛の時、どんな問題も乗り越えていけるし、相手は「非の打ち所がない、世界一素敵な存在」に思えることが多いです。でも個人差はあれ、その状態から徐々に日常的な状態に戻っていきます。相手のアラがみえ始めたり、相手と自分の違いがはっきり見えてきたり…。

ノルウェーでも、恋愛状態はあたかも薬物でハイになっているような状態という一般的な認識はあります。でも、その状態がいずれ終わってしまうという認識をしている人は多いのかしら、と思うときがあります。そして、ラブラブが終わった時、イコール「破局」と思っている人も結構居るのかもしれません。

 

恋愛状態、ラブラブ状態のさなかに結婚してしまう方がいるとしたら、それが終わって日常生活のもろもろの煩わしいことが出てきたとき それをどうやって乗り越えるか、すごいチャレンジな気がします。それに、人はだれでも「愛されたい」「幸せになりたい」という希望がある存在ですから、それを一番近い人、伴侶やパートナーに期待するのは ごくごく自然なのかもしれません。

 

愛を感じる方法は人によって違う

そして、チャップマン先生は、人が何をもって自分は愛されていると感じるか…の、個人差 を発見したというのです。それを煮詰めていくとだいたい5つくらいのカテゴリーに分けられると言います。

例えば、自分が人から何かしてもらうことで「愛されてる」と、感じるなら 結婚相手・パートナーからそうしてもらうことで自分の「愛情タンク」は常に満タンだというのです。自分は相手から愛されているんだ、と思えること、感じられることがその人を安心させ、人生を楽しくさせます。

ただ、ポイントはその愛情表現を相手の方法でお互いにしてあげること、だそうなんです。そう、相手に自分が「愛してるよ」と伝えることを自分の方法ではなく、相手が一番そう感じる方法で…というのがこの理論の中核です。

 

本物の愛は「選択」すること

ここまで来ると、もしかしてこのブログを読まれている方は「その5つの方法って何?」と興味深々かもしれません。スペースの関係上と、もろもろの理由であえてそれは挙げないことにしました。

確かにこの理論は私の人生を振り返っても 参考になったし、事実この本を勧めた方もかなりいます。ただ、今 もう一度読み返してみて 一番「そうだよな」と思ったのは、どの方法でどう愛情を伝えるかとか、のテクニカルなものではなく、もっと根本的なこと。相手のこと、自分の夫婦(カップル)関係のことを大切に思い、大切に扱おうとする「態度」や「姿勢」です。

本の第10章の中で チャップマン先生は「愛は選び、選択だ」と書いています。相手に相手の方法で自分からの愛情を伝えることは、易しいことではないかもしれないけど、でもあえてそうしていく、努力していく、という毎日の自分の選択が愛することだというのです。そして、相手のことを大事にしたいという態度から来る愛情で築かれる関係はラブラブの燃えるような恋の関係とはまったく質が違うのです。

 

まとめ

毎日の自分の選択…そうかあ。前回のブログの最後でクリスチャンにとっての結婚って「死が二人を分かつまで」だと書きました。たしかに、結婚式の時にそう誓います。ただ、やはり人生いろいろ起こりますし、人には限界もあるので 実際に何らかの事情で離婚してしまうクリスチャンの方々もまわりに多数居ます。クリスチャンに限らず、一人ひとりの方がいろいろな事情を抱え、その結果別れてしまうのも もちろんリスペクトされるべきだと思います。

私事で恐縮ですが、私も 自分の結婚って、やっぱり自分の選択なんだわ…と、つくづく確認させられることがあります。夫とどうしても意見が合わない時、彼の意見が理解できない時、彼のボーダー(限界)と自分の限界がかなり違う時…いらいらします。で、がっかりもします。もちろん、相手は変らないので、結局自分がこの事実を受け入れるという形で解決に向かうのですが、そこで「自分が選んだんだから、しょうがないかあ…」ということで諦め(?)がつく状態です。そして、自分が選んだ相手ですから、なんとかこの人を幸せにしてあげたい…いや、その保証はできないけど、せめてできるだけ頑張るのが私の役目かな、とも思うわけです。

 

最初に自分に投げかけた疑問、「ラブラブが終わったら、結婚も終わり?」の私の答えはノーです。でも、他の意見があっても不思議ではないですね。

この独り言を読んでくださった皆さんはいかがでしょうか???

 

国際結婚を考える ― 日本とノルウェーカップルの場合 その3 ― 

こんばんは、お元気ですか?11月に入り、こちらも暗く寒い冬が始まりました。毎年この時期って、雪が降るまでとってもどんより暗くて たくさんの人が「しんどい」と言ってます。また、街では早くもクリスマス商戦が始まりました。

さて、今日は巨大なテーマ、「なぜこんなにも離婚率が高いのか」「どうして離婚するのか」を、ノルウェーというコンテクストで私なりに考えてみたいと思います。

 

結婚も離婚も自由意志

日本との違いを考える中で、大きく違いを感じるのは こちらでは 離婚も自由意志で成立してしまう、ということです。自分か相手が「もうやめた」と思ったら、相手の同意があろうとなかろうと、理由は全く問われずに離婚できるのです。

離婚が成立するには、その前段階の別居が最低1年以上あることが条件としてあります。別居はお役所に申請するか、また住所を移して2年以上たつのを待つかのどちらかで認められます。

例えば良く聞くパターンが、どちらかが先に新しいパートナーを見つけてしまい (つまり不倫です)、「ごめん、もう結婚続けられない」という感じで出ていくとします。ここから1年経つと出て行った方は離婚申請でき、残された側が同意しようがしまいが関係なしに離婚できてしまいます。離婚の理由とか、「どっちが悪い」も全く話し合われません…というか、もともと結婚が自由意志をもとに成立していたので、その意志がなくなったら離婚して当たり前…みたいなニュアンスです。

ちなみに、こどもさんがいる家庭では別居の前にメディエーションと言って、家庭相談所の方と話し合いを持って こどもさんの養育はどうするかを合意して メディエーション証明書を発行してもらうことが義務づけられています。

 

ノルウェー人があげる離婚理由

以前のブログで紹介したSSB(ノルウェー統計局)でも、年齢別離婚者数などの統計は公示しているものの、離婚理由やまたその経緯を取り扱った文献や研究などはちょっと見つかりませんでした。

ネット上で一般的にノルウェー人はどう思っているのか、検索したところ いくつかのホームページが見つかりました。その一つが "skilsmisse.net" (離婚.net)です。ここでは離婚に関わるあらゆる情報(実際の手続きや財産の分配、こどもの養育分配など)が載っているほか、メンタルをサポートするような記事も載っています。

「離婚には様々な理由があります」と、前置きした後 良く聞く理由として 不倫、熱が冷めてしまう状態、または気が付いたらこんなはずじゃなかった結婚生活…など。また、夫婦喧嘩の3大理由、「性生活・家事・家庭の経済」も挙げられています。

また、2018年12月のTelemark Avis(テレマルク地方紙)では あるカップルセラピストの意見として、「恋人感」の消失が挙げられていました。この「恋人感」は コミュニケーションが悪かったり、心と体の親近感の不足で失われると言います。自分の時間やエネルギーを仕事・キャリア・家族・トレーニングにかけ、パートナーをおざなりにしてしまうことも挙げられています。

このプロの方の意見はおそらく 誰もがうなずく感じがします。なので、カップルカウンセリングにせよ、問題が浮上する前に参加できる カップル講座にしても、「いかに、コミュニケーションをとって、なおかつラヴラブを持続させるか」かが、カップルの寿命を左右すると言っているような印象を受けます。

 

うーん。日本で育った私たちは、親たちがキスしたりハグしたりする姿を見て育ったわけでもなく…(もちろん、そういう親御さんのもとで育った方も居ないと言い切れませんが)この「夫婦ずっとラブラブ状態」って、なんか無理…というか、すごく大仕事な感じしませんか? もちろん、私を含め西洋文化で育った人と結婚していたら、それなりに頑張らなきゃって感じの「努力」は必要かもしれませんが、やっぱり相手にも私たちのバックグラウンドを知っておいて理解してもらわないことには、不公平でもありますよね?

 

まとめ

本当に、どうして離婚率が高いか、なんて複雑すぎて このブログ上では大きすぎるテーマだったかもしれません。ただ 日本とノルウェーを比べると やっぱり 離婚があまりにもお手軽にできてしまうのが もしかして離婚率の高さとちょっと関係あるのか、と思ったり。ただ、お手軽と言っても、もちろん離婚してハッピーになる人はほとんど居ないと思いますし、できたら「したくない」ことの一つですよね。それに、こどもたちのメンタル面でのネガティブな影響(ただ、今はタブー視する傾向から真逆な感じで、こどもにネガティヴな影響は無い、という人も多々)や、財産分配とか本当に大変です。

私の周りにも国際結婚で離婚された方も割といるのですが、理由なんて他人には計り知れないのが普通です。そう、ご夫婦のことは他人にはわからない。ただ、本人たちの言い分を聞いていると、上に挙げた「ラブラブ欠如」というのが割と当てはまる印象です。

では、本当にラブラブ欠如でみんなが破局してしまうのか…?というと、実はそうでもない気がします。私はノルウェーで洗礼を受けたプロテスタントのクリスチャンですが、クリスチャンにとっては結婚って、「死が二人を分かつまで」なんですね。

そんなこんなで、次回は"The Five Love Languages" (日本語タイトル、「愛を伝える5つの方法」)のGary Chapman先生をヒントに書いてみようと思います。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!! 

 

私の本業、Ungbo (うんぐぼー)

今週末も日本の一部の地域で大雨と災害がありました。被災された方々、心からお見舞い申し上げます…。

 

さて、そういえば 私の本業については触れたことがなかったわ、とふと気が付きました。私の職場はオスロ市のなかの専門機関の一つ、Velferdsetaten(英語訳 Oslo Municipality Welfare Administration)の中にある、Ungboという部署です。単語のWelfare、は日本語では福祉と訳されていますが、日本語で福祉をイメージされると ここで使われている「福祉」とはちょっと内容が違うように思います。日本からいらっしゃる方に老人福祉とか障がい者福祉のことも聞かれますが、ちょっと分野外かな、という感じです。ノルウェーでは老人福祉はどちらかというとHelthcareの分野の中に位置付けされることが多く、職員も看護師さんが多い状況です。障がい者福祉もどちらかというとHelthcareなのかな。ただ、看護師さんの他にソーシャル・ワーカーの一つのVernepleier(ヴァーネプライエル)がいるかな、と思います。彼らは薬剤などを取り扱え、様々な障害に精通するソーシャル・ワーカーなのです。

実際のVelferdsetatenは薬物常習者の方の施設運営や社会復帰事業が一番大きなセクショとなっています。一方、私の所属するUngboは予防福祉のセクション下にあります。

 

40年以上続くUngbo

Ungboという名前は造語でUng(若い)とBo(住む)からなっています。どうも、デンマーク発祥のコンセプトらしいのですが、簡単に言うと「わけあり」ユース、17歳ー23歳のUngbo住宅(市営住宅)に住む子たちのフォローアップの仕事です。もう40年以上も続いていて、昔はそれこそ住居のないヒッピーなども住人になっていたようですが、その時代とともにクライアントさん方も変わってきています。予防福祉というと一番なおざりにされてしまう傾向があり、ここも数回閉鎖の危機を乗り越えてきました。

Ungboではオスロ市営住宅の一部を管理・運営しており、いろいろな事情で実家に住めなくなった子たちが住居申請してきます。Ungbo住居に住むと、ベーシック・フォローアップといって、担当者が与えられます。ただ、ベーシックは定期的に担当者と会うわけではないので、もっとフォローアップが必要な子たちは区を通して「強化フォローアップ」を申請します。こちらは担当者に週一で家庭訪問・面談してもらえるというものです。

どんな子たちが申請してくるかというと、よく聞くのが移民・難民などの2世の子たち。実家には下の兄弟がたくさんいるので、親に「出ていけ」と言われたり、ジェネレーションギャップなどで親とケンカが絶えないなどの事情があります。

そのかたわら、児童保護事務所を通して申請してくる子たち、虐待の経験などで今もトラウマなどで苦しんでいる子たちも居ます。

 

一緒に洗面所の排水溝を開けたり…お掃除も?そしてカウンセリング

実は私がUngboに来たのは昨年の7月。ここではスペース上省略しますが、元居た職場が閉鎖になり、空きがあったため、市職員の権利を使ってこちらに配属させてもらったのです。ただ、すごくラッキー(?)だったのは、Ungboはもともと働いてみたい部署の一つで、実際に2015年には仕事申し込んでいました。(この時は仕事はもらえず、だったのですが、去年聞いたのは実はこの時ナンバー2として候補にあがっていたらしいのです。なんでもっと早く言ってくれないの?…ですかね。わかってたらその後も申請したんですけど…。)

この短い間に担当させてもらっている、Aちゃん。彼女のご両親は北アフリカからの難民です。Aちゃんはノルウェーで生まれたのですが、親御さんの国とノルウェーの文化的ギャップが大きく、薬物にも手を出し、区の児童保護事務所を通してUngboに来ました。彼女の場合はご両親との不和について相談にのるほか、洗面台が詰まった時には一緒に排水溝を開ける作業をしたり(彼女が自分で次の機会に対処できるように)お掃除を一緒にしたり、といろいろな仕事内容を体験させてもらっています。

そう、Ungboのお仕事は居住に関わる知識全般が必要だし、「汚いから触れない」とも言っていられません。ベッド・バグ問題も時々あったり…ちょっと「なんでもや」っぽい部分あり。

Aちゃんは今高校で職業技能を習得するコースに行っています。彼女は元気な時はとっても楽しくいい子で、私のはいていた5本指ソックスが欲しいなど、はっきり言ってくれる子です。少しずつ、状況は良くなってきているので、素敵な未来が来るよう、これからもお役に立てたらうれしいですねー。

 

なぜか(それとも必然的?)移民の私には移民バックグラウンドのクライアントの子が多いのですが、最近担当になったのは東欧出身の女の子たち。この子たち、日本人によく似てて本当に真面目なおりこうさんなんです。礼儀ただしいし、ドタキャンもなし。でも、その裏ではいろいろな辛いことを経験していて、なかなかオープンになるには時間がかかります。まだ、何が大変なのか、家族との関係など、の話は彼女たちの準備ができてから話せるのかな、という感じです。

 

 

さて、今回は私の現在の職場とどんな仕事をしているのか、をちょっと紹介させていただきました。守秘義務もあり、あまり詳しくは書けなかったのですが、今所属させてもらっているチームでは私が取った家族療法(システミック・アプローチ)を積極的に取り入れたり、チーム内もその専門知識がある同僚がほとんどなど、でこれまでと違い かなり自分の興味・専門分野とマッチした感じでとっても恵まれていると思います。(ここまで来るのに、長ーい・長ーい道のりでした…)

この秋、以前ご紹介したナラティブ・アプローチをスキルアップさせるべく、ワークショップに通っています。こんな講座に通えて、ほかの参加者と意見交換したり、練習する中での気づきがあったりする時、楽しいなー、感謝だな、と思います。もっともっとナラティヴでいろんな子たちと会話できたら…というのが、近い将来の夢・希望です。

このワークショップや主催者のRobustさん(Kirkensbymisjonという団体です)のことについてもいずれ書きたいと思っています。ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

国際結婚を考える ― 日本とノルウェーカップルの場合 その2 ― 

Facebookでも"Humbleness"という名前で いろいろ独り言を書いたりしているのですが、結婚観について以前ちょっと触れました。「これから結婚を考えていらっしゃるかたには、結婚観についてお互いに話し合うのがおすすめですよ」というメッセージをこめて。

ノルウェーの現状は インフォーマルな関係の一般化です。結婚観どころが、結婚に至らないカップル。はじめは一般的な結婚観を書こうとおもっていたのですが、やっぱりその前の段階でもある「同棲」について先に書いてみたいと思います。

 

 「既婚」「未婚」・・・と「同棲」

日本からこちらに来てびっくりしたことの一つ、「同棲」という社会で認められたカテゴリー。いろいろな役所の書類などにも、この「同棲」が選択肢として挙げられていること。社会的に「同棲です。」といってもぜんぜん違和感なく、「ああ、同棲ねー。」と、既婚者や未婚者と同じ扱いで見られること。

24年前の私はどちらかといえば、結婚したいかどうかもわからなかったし、結婚の意味もぜんぜん考えたことはなかったので 「これって、とっても進んでてイイ!」と、感動したものでした。

なにをもって、だれが「同棲」の対象になるのか?というと、日本で言う住民課にあたる Folkeregistreret (ふぉるけれぎすてれ)の住所登録を彼氏や彼女と一緒の住所にすればいいだけです。(ちなみに、こちらの登録ではなぜかまだ「同棲」カテゴリーがありません。)そう、いたって お手軽なので、まずノルウェーの若いカップルは 結婚の前に多くが同棲します。信仰などの理由で同棲しないで、いきなり結婚する方々は 逆に「なんで同棲しないの?ふーん、変わってるね。」というまなざしを受けることもあり。そして、子供が生まれても籍などいれて結婚という形をとらずに 同棲のままで過ごしてしまう方々も、少なくないのです。 

ただ、ノルウェーと一口にいっても、東・西・中部・北ノルウェーと、かなり文化や「何が普通か」に違いがあります。首都オスロがある東の地域は、もっとも同棲が一般化している場所の一つです。

 

同棲のマイナス面

近年、ノルウェーの外国人法で「同棲ヴィザ」もでき、同棲後 最初の2年間正規の滞在許可を持っていたら3年目から このヴィザが申請可能になりました。たとえば、初めの2年を学生ヴィザで、で相手がいる方はこの後 このヴィザに切り替え申請できるというわけです。

そういうわけで、私も同棲ヴィザで滞在している日本の若い子たちがいるというのを聞くようになりました。理由は様々だと思います。様々な理由で結婚という形をとらない選択はリスペクトされるべきだし、他人がとやかく言うことではないですよね。ただ、おばちゃんとしてちょっと心配したりするのが、みんなリスクをわかっているのかな、ということです。そのリスク…とは?

結婚すると、「結婚法」が適用され 例えば相互扶養義務などが課されてきますし、相手が不幸にして亡くなった場合も国からの経済的なバックアップや 離婚の場合も自分のもらい分というのを権利として主張できるのです。そんなリスクを回避するために、「同棲契約書」を結ぶカップルも多くいます。そこでは万が一の時の相続の配分や 別れた時の配分などをあらかじめ取り決められるようです。

同棲は、つまり まったく法的に拘束されない インフォーマルな関係なので、逆に法的な保護も無、なのです。昔 こちらの社会福祉事務所・生活保護課(NAV Sosial)で務めていた時も 自分の同棲相手が事故で亡くなり、相手所有のマンションから出ていかなければならなくなったクライアントさんが居ました。相手の家族がマンションやその他財産の権利を主張されたので、彼女は長い同棲生活だったにもかかわらず 一銭も故人の財産を相続できませんでした。

もうひとつ、リスクではないけど 社会的に言われているのが 「別れる率が結婚より高い」ことです。統計などが全くないので 裏付けもないのですが、50%(以上)の離婚率よりも高い確率で同棲カップルが壊れている印象です。もしこれが本当なら、もしかして 結婚よりも同棲を選ぶ時の 選択時の姿勢と何か関係あるのかな、と思ってしまいます。

 

離婚している親たち

同棲を選ぶ方々の理由には、「生活費をシェアできるから」のような経済的なことも挙げられているのですが、一番多いのは「相手が結婚相手にふさわしいか見極めたいから」とか「二人が合っているかどうか生活してみないとわからないから」のような 不安からくるもの。つまり、うまくいかなかったときを想定しての、「出口」がすぐそこにある関係のイメージです。別れるのがカンタンなことが前提で、壊れてもいいやとおもって結ばれる関係って、どうなんでしょう… ちょっとした問題が浮上した時は 「やっぱりね」という感じで 本当に簡単に別れてもおかしくないかもしれませんね。

または、「結婚は紙だけのものだから、する意味がない」という自分自身の理念から来るものもあります。私の受けた印象ですが…(裏付けはありません)やはり、女性が社会に進出して 男女平等がうたわれるようになった50・60年代を境に 離婚率が急激に増え、その2世以降の世代が 結婚に対する夢・希望、ポジティヴなイメージを持たなくなっているのかな。だとしたら、ちょっと悲しい感じです。

 

まとめ 

同棲ヴィザができたことから 日本人パートナーも 滞在許可のために結婚という選択をしなくてもいい 現状が生まれています。もちろん、選択は個人的なことだし そのカップル、カップルにとって最善な方法なのでしょう。ただ、日本人パートナーが結婚を希望しているのに、ノル・パートナーが「いや、それはしたくない」ということも 無きにしもあらず、なのかな…どうなのかな…と、思いを巡らせています。

20代で同棲に感動した若いおネエチャンが 24年経っておばちゃんになり、私はあのころとガラリと変わりました。今は正式な、フォーマルな結婚という関係に大賛成になっています。それは、公的な保護もさることながら、結婚するときの姿勢「この関係に賭けるんだ!」という意気込みがある方が 結婚後のさまざまなチャレンジや問題を乗り越えていくパワー度が高い気がするからです。(クリスチャンなので聖書的な結婚観を支持するというのもあります。)

 

次回の「国際結婚を考える」では、なぜせっかく結婚したのに別れてしまうのか?(むちゃくちゃ大きなテーマではありますが)にチャレンジしてみようかなと思っています。

ここまでお読みいただき ありがとうございましたー!

 

 

ノルウェーから体験した台風19号… 

このすさまじい災害から数日が経ちました。まず、最初に被災された方々へのお見舞いの言葉を添えたいと思います。今このブログを読んでいただいてる皆さまはいかがお過ごしだったのでしょうか?

台風19号のニュースを聞いた金曜日くらいから、実家の母と連絡をこまめに取ったり、日本のニュース番組(数時間遅れで)をチェックしたり始めました。実家は神奈川県にあるのですが、母はマンション住まいなので一戸建てにお住まいの方に比べ、おそらく深刻な水災害は受けないだろうと予測できました。

土曜日。朝起きると日本はすでに午後の時間でしたが、この時から複数のチャンネルでライヴストリーミングを始めていたので おおよそリアルタイムで夫と二人、画面の前にかじりついていました。夫と話していたのは「なんか、日本にいるみたいな感じになって、窓の外のいい天気が変だね…」買い物に行ったり、用事を足しいていてもやはり 手につきませんでした。母とも台風通過時あたりに話すことができ、停電の有無や近くの川の状態を再確認。再びこちらの夜に母と電話連絡。本人は夜中に他の家族からの電話で起こされて ずっと眠れなかったといいます。一方、私たちは安全確認ができたので安心して床に就くことができました。

 

「日本人は改めてすごいね」

日曜日・月曜日。台風が去った後の各地の被害の映像が入ってくるころ またスマホの画面にかじりつきでした。教会で知り合いの方々から「大丈夫だった?」と声をかけていただいたり、「日本の人たちは本当にいろいろな災害で大変だよね」(それを乗り越えてるのがすごいと、言うニュアンスで)といった言葉も複数の方からいただきました。

ボランティアの方々が手伝う姿、近所の方のために水を運ぶ方々、決して取り乱したりせず、淡々と片づけをされている方々、など。この姿はノルウェー人にはありえない、日本の人は 想像できないくらい"fattet"(達観している)…とうちの夫を含め 感じている人が多い気がします。

 

自分の選択を認めてあげることの大切さ

とはいえ、ご家族を亡くされた方々や家が大きな被害にあわれた方々など、想像を絶する辛さ・大変さだと思います。自分がその立場だったらどうだったかな、と考えます。

今日見た番組では いろいろな選択が生と死を分けた…というような報道もありました。それを見ていて、本当にそんな簡単に言えるのかしら、と疑問をもちました。どの選択がどんな結果を招くかなんて誰が事前にわかるのでしょうか? こんな選択もあった・あんな選択もあった。この選択をしていれば、きっとこうはなっていなかった、と後悔することはいくらでもできるのですが、その時にベストの選択をしない人なんているのでしょうか?

これからも こういった「振り返って反省する」的な報道が増えると思われる中、被災をされて辛く厳しい生活をされている方々が こういった後悔の念でさらに苦しむのは胸が痛みます。

国際結婚を考える ― 日本とノルウェーカップルの場合 その1 ― 

去年の今ころ、同じタイトルで「テーマ・カフェ」なるものを自宅で開催すべく、いろいろと準備しておりました。ワーホリ開設以降、国際結婚も増えていると聞いていて、今結婚したての方、将来的に考えている方と一緒に お茶を飲みながらテーマについて考え、語ってみよう、という趣旨のもの。

ところが 夫の急病で、開催は断念。でも、なんかの形でこのテーマについて いつか何かできないかしら、と思案しておりました。

そもそも私がファミリーセラピーの勉強を始めたのも(長かった)独身時代に複数の「日・ノル」カップルにお会いしていて 皆さんのお悩みをたくさんお伺いしていたのが一つのきっかけです。「そんなに国際結婚って、大変なんだー」というのがその時の印象。実際に修士論文もこのテーマを取り上げました。

と、言うわけで、このテーマについて何回かに分けて書いてみたいと思います。

 

ノルウェーにおける 「日・ノル」カップルは変化している

ノルウェーにはSSBという、統計を公表している機関があり、例えば 日本からの移住者の数など 簡単に調べることができます。ただ、その移住の内訳が見れないので、どのくらいの方々が結婚で移住なのか 見ることができません。いずれにしても、私がこちらに移った1995年からの移住者数をざっくり見てみると、実は数のアップ・ダウンこそあれ、だいたい年間100-150くらいとなっています。

ここからは統計ではなく、私が実際にお会いした方々のお話しです。もしかすると地域性などで偏っていたりするかもしれません。ご了承ください。

こちらに1960年・1970年代くらいにお嫁に来た方々のお話では、どうもご主人のノルウェー人は船乗りさんだったりして、日本で寄港中に出会い、それが結婚となり、こちらに移られたというのが多かったです。その世代の方々のご主人さまたちの中で 日本語ができます、という方はお会いしたことがなく、どちらかというと あまり日本の文化とか食べ物に精通しているという感じではありませんでした。

当時、こちらに移住となると かなり珍しかったに違いありません。おそらく留学で来る日本人も少なかったはずです。

この後、滞在許可があればノルウェー語の無料講座を受けられる時期がありましたが、当時は全くそういうものもなかったと言います。ご主人たちも後年 違うお仕事に就かれたにせよ、船乗りさんであれば数か月家を空けるのは普通なので、奥様方も外国で一人でかなり大変だったのではないでしょうか。言葉はどうしたのでしょうか?ちょっと、サバイバルな感じですよね。その大変さが私にはちょっと想像できません…。

 

私が20・30代だった(90年代後半から15年間くらい)ころも新しく来られた日本人奥様たちに複数お会いしましたが、そのころからかなり多様性が増した印象です。たとえば、出会いの場所も 海外(日本、ノルウェー以外の第3の国)やここ、ノルウェーなど。海外留学が普通にできるようになってきて、留学中にご主人と出会う方々も複数居ました。そして、ご主人たちも日本語がペラペラだったり、日本にOO年住んでいた、など。中には、こちらに住んでいて、うちの中では日本語だという方もいます。

ネットの出会いサイトの普及で、ここ10年くらいはネットで出会って結婚してきた、という方々にもお会いしました。(距離を考えると、すごい勇気だな、と思わずにはいられません!)

ただ、最近国側からの様々なサポートも「財布のひもを締めてきた」感があり、例えば2017年以降に最初の滞在許可をもらった方々はノルウェー語講座も有料になったり、永住許可を取得するのに自分の収入という条件をクリアーしなければならなくなったり、最近移住された方々も結構大変かな、という印象です。

 

今ここまで書いてみて思ったのですが、この昔と今の違いって、なにもノルウェーに限ったことではなく、他の欧米諸国でも同じことが言えそうですよね。特に日本人が海外に飛び出す(?)ようになってからは、日本以外の国で未来の伴侶に出会う方々が増えても不思議ではありません。

修士論文を書く際に、「国際結婚論!?」(嘉本伊都子著、法律文化社)という本に触れましたが、とっても興味深かったです。この中で、「ワーホリ・ブライド」という概念が紹介されていました。つまり、ワーホリを婚活の手段として利用し、それが成就して晴れて結婚に至る、ということらしいのですが…。

国際結婚が「目的」というのも、私個人的には うーーーん、とうなってしまうこともなくはないのです。と、いうのも私の国際結婚に対する第一印象が「国際結婚ってこんなに大変なんだー。」だったのですから。でも、これはいいとか云々ではなく、本当にその方次第だな、と思います。

 

さて、次回「その2」ではノル人と日本人と思いっきり違うかな、と思う一つのこと、結婚感・結婚法について書いてみようと思っています。お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

システミック… システマティック? 

こんばんは。今日は 良く聞かれる質問の「システミック」について、ちょっと書いてみます。うん、システミックとはなんだ? 私も聞いた当初は、システマティック?と思ったりしたのです。

 

カウンセラー、と言ってもいろいろな種類や内容がありますね。持たれている資格も様々だと思います。私は、実は本業の方の職業名はカウンセラーではなく、ノル語でSosialkonsulent (今、翻訳機能を使うと、英語でSocial Consultantと出てきました。)なのですが、業務内容は心の悩みから、家賃が払えない悩みまで お伺いしますのでやっぱり、カウンセラーなのかな、と思う次第です。

 

その、(心理)カウンセリングの中では サイコ・アナリシスが一番良く知られているかもしれません。フロイト、ですよね。私も20年前に卒業したソーシャル・ワーカーの学校では一番初めにフロイト習いました。近年では、NLP神経言語プログラミング)、認知療法(Cognitive Therapy)、マインドフルネス…などなど。いろいろな理論や実践によって、今たくさんの療法があります。

さて、本題のシステミック。システミックの理念は1950・60年代に考え出されたシステムセオリーがもとになっています。例えば、A(事柄)が要因になって B(影響)になる、といった直線的な考え方ではなくて、AとBがお互いにぐるぐる作用されあっている、という サークル型の思考です。これを家族関係に置き換えてみると、お母さん、お父さん、子供たちがみんなお互いに作用しあっていて、お母さんが怒りっぽいのはお父さんがうちにいないから、だけではないのです。簡単に言うと、問題が起こるのはだれか一人のせいではなく、そして問題の原因を追究するよりも 解決策を見つける方に力を入れています。

そして、システミックの世界は奥が深い…。システミック・アプローチと呼ばれている主なもので7種類あります。

私が特に面白いな、と思ったのは、日本で「ナラティヴ」で研究・実践されている ナラティヴ・セラピーです。ここでは、問題を抱える子(大人もありです)から 問題を一回その子から分離させて、その子と一緒に「問題くんはどんな風か一緒に見ようね」というアプローチなのです。そう、特にいろいろな症状に悩むお子さんにとって、問題が自分のせい、とか、自分が変だから、と思わずに済む…だけでも とっても救いになりますよね。

ちなみに私が取ったコースでは心理療法士(心理学をみっちり6年くらい勉強されてきた方)、看護師さん、牧師さん、また私のようなソーシャルワーカー上がりの者までいろいろなバックグランドのプロたちが集まっていました。

 

システミック…ちゃんと説明できたかどうか、はちょっと疑問ですが…。

実はノルウェー(で私の知る限りでは)システミックアプローチを学びたい、という人は多いのですが、なかなか職場の現状でこの資格をもっていて、重宝されるかといえば そうでもない。または、あまり転職の有利にはなってないかもしれないのが現状です。それは、まだまだこのアプローチを使いたい、という上の人たちが多くないからかもしれません。ここでも、日本でも もっとシステミックカウンセラーが増えてくれるのを期待しています!